別所哲也「携帯電話で全人類が動画クリエーターになる」支援プラットフォームをローンチ

プラットフォーム「LIFE LOG BOX」ローンチ記者説明会に登壇した別所哲也(撮影・村上幸将)

別所哲也(57)が8日、都内で会見を開き、コンテンツとクリエーターの価値を最大化するクリエーター支援プラットフォーム「LIFE LOG BOX」(ライフログボックス)記者説明会を開いた。

別所はこの日、俳優ではなく、99年にスタートしたアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」代表かつ、同映画祭を運営する株式会社ビジュアルボイスの代表として登壇。冒頭で「全人類が動画クリエーターになる時代に入りました。全人類が携帯電話を通じ、まさに動画を通じてコミュニケーションをする時代」と声を大にした。さらに「世界中のクリエーターと繋(つな)がっていくエコノミーを作りたい。受診して楽しむだけでなく、配信する。ブロックチェーン(BC)を使い、資産になる動画を、より多くの人々と繋がる形にしたい」と概要を説明した。

LIFE LOG BOXは、BC上で暗号資産などのトークンを媒体として価値の共創・保有・交換を行う「Web3・0」の技術を使い、公式サイト上にアカウントを作成することで永続的に保存可能なデータストレージでコンテンツを保管できる。並行して、クリエーター紹介や作品が掲載できるポートフォリオを作成でき「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」などの映画祭へのエントリーや、製作したコンテンツの販売、企業との案件マッチングなどにつなぐことができる。

LIFE LOG BOXは、別所が代表を務めるビジュアルボイスが、アートや音楽など代替不可能なデジタル資産に固有の価値を持たせるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)などBC利活用の実績を持つデロイト トーマツコンサルティング合同会社と、クラウドコンピューティングサービスを提供するアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社とタッグを組む。

4月27日に先行してローンチされたβ版には、安藤サクラ(37)の姉で映画監督の安藤桃子氏(41)、映画監督も務める女優の黒木瞳(62)が参加を表明。動画投稿アプリTikTok(ティックトック)とカンヌ映画祭がコラボし、今年で2回目の開催となった「TikTokショートフィルムコンペティション」で「レンタル部下」がグランプリを受賞した、18年のインディーズ映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督(39)含め、170人が登録した。

別所は、ビジュアルボイスの事業について「一番、大きいのは映画祭の運営」と、ショートショート フィルムフェスティバル&アジアの運営が基軸だと説明。「アニメも加わり、米アカデミー賞にはアジア初・最多5部門の推薦枠を持つ、6000本を超える作品が集まる映画祭に成長しました。ジョージ・ルーカス アワードという、ジョージ・ルーカス監督の名を冠したアワードを唯一持つ、アワードです」と意義を強調した。その上で、LIFE LOG BOX立ち上げの狙いを説明。「なぜ、我々がサービスを行うか? 映画祭で培った国際的なノウハウ、企業とのネットワーク、我々がクリエーターの集団であること。10万本もの映画、9万5000人の監督と繋がりを持ち、来場者は60万人。自社でも110のショートフィルムを製作しました。映画祭で上映するだけでなく、うまく皆さんに届ける、クリエーターのためのプラットフォームを作れないか」と訴えた。

会見には、安藤監督と黒木も動画でコメントを寄せた。安藤は「みんなが、映画クリエーターになれる時代。でも、なかなか日本で作品を作っても、ニーズに合う出会いがない。こういう場所が生まれることで、才能のある若い人がやりたいことをやれて、世界に繋がれる、希望あふれるフィールドが生まれた。還元されることに希望と明るさを感じています。変化、進化を期待できる…期待大。応援しています」と笑みを浮かべた。黒木も「中島みゆきさんの楽曲をテーマに2本、短編映画を作りました。自治体にも協力を受け、上映会を展開したんですが(作品を)お届けできていないなと思い、参加しました。さまざまな障壁を乗り越え、新たな世界が出来ると信じています。ぜひ、皆さんで世界に発信していきましょう」と支援の声を上げた。

デロイト トーマツコンサルティング合同会社の佐瀬真人代表執行役社長は「無名なアーティスト、作品を世の中に伝える、世の中にない新しい価値を生み出すのは、ワクワクしている。日本の再浮上のきっかけになる可能性を秘めている。地方の伝統芸能、といった資産も発信できる、新しいキャピタルを生み出すものになっている。新しい技術と日本の持っている価値を世界に発信したい」と強調。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS)長崎忠雄代表は「ショートフィルム…映像の在り方を変えるものを、1人で(日本に)持っていった。AWSも、クラウドなど誰も知らないことを世界に広げた。そこに関するシンパシーがあった」と別所への共感を口にした。その上で「日本中のクリエーターに、スポットライトが当たる。恐らく日本、世界初。(カンヌ映画祭男優賞の)役所広司さんのように、世界で賞を取るお手伝いを、裏方で出来れば」と抱負を語った。

会見が行われたこの日、LIFE LOG BOXは、正式にローンチされた。別所は「アクターは演技をする者でなく、行動する者だとハリウッドで教わった。クリエーターが世界に羽ばたく、グローバルな場になれば良い。携帯電話を持つ全てがクリエーター…集う場を作っていきたい」と決意を表明した。