成駒屋3兄弟初の自主公演「神谷町小歌舞伎」金髪学ラン姿のポスターにも見える細かなこだわり

初の自主公演「神谷町小歌舞伎」を行う成駒屋3兄弟。左から中村福之助、中村歌之助、中村橋之助(撮影・野上伸悟)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

初の自主公演「神谷町小歌舞伎」(6月30日初日、東京・浅草公会堂)を行う歌舞伎俳優中村橋之助(27)、中村福之助(25)、中村歌之助(22)の“成駒屋3兄弟”をインタビューした。3人が中心となって運営から出演までをこなす興行で、それぞれが思いや今後の目標などを語った。

こだわりのひとつが告知ポスター。一門11人が学校の制服やスーツ姿などで撮影したカットも掲載した。3人は、周囲から「あのふざけたポスターは何だ」と総ツッコミを受けたというこだわりの1枚への思いも明かしてくれた。

ポスターにははかま姿の11人と相対するように、くだけた格好の11人も並ぶ。特に3兄弟はそろって金髪に学ラン姿。情報解禁前にこのためだけにこっそり染めたため、周囲は「ついにグレたのか?」とザワついていたといい、歌之助は「先輩方からたくさんお言葉をいただきましたね(笑い)。苦し紛れの雑誌の撮影ですとかうそついたりしていました」と振り返った。 従来の歌舞伎のポスターを見慣れている人からすると表面のインパクトだけでも相当なもの。加えて今回は裏面にも「パンフレット売り場に急げ!」「浅草公会堂へ急げ!」などといった文字も並ぶ。ある歌舞伎関係者は「こんな感じで書かれているのはなかなか見たことがない」と語っていた。

橋之助は「この格好で歌舞伎をやると思われていて。会社の人が(金髪時は)全員2度見していました(笑い)。でも何でもいいから引っかかってほしかったんですよね」と思いを明かす。ポスターのテイストについては「かっこいいとダサいの両方に足を突っ込んでいる感じにしたくて、あとは11人全員で載ることにこだわりました。もちろん厳しい意見もありましたが、それも含めて、何かをやる時は批判はついて回るものなので。僕たち三本の矢で、出るくいは打たれ強く頑張りたいです」と力を込めた。

突然の金髪姿に3人の両親である中村芝翫とタレント三田寛子もそれぞれ反応した。三田はSNSで歌之助の写真を挙げ「私の知らない息子…。反抗期きちゃったのかな。まさか21歳にして?」とつづり、芝翫はイベント出演時の取材で「3人を連れて食事に行った時は恥ずかしかった」などと笑顔で語っていた。

それでも20代の3人が「歌舞伎界を盛り上げるため」とアイデアをこらす姿を後押ししてくれているといい、橋之助は「父は稽古を毎回必ず見てくれていますし、母は事務作業、チケット切ったり、『できることはなんでもやるから』と、言えそうで言えない言葉をかけてくれていろいろ手伝ってくれています」と話す。

ポスターについても「父は能動的な部分もありますが、どちらかというと保守的な部分が強い人というイメージが僕にはあって。ポスターも見せた時に、配役も演目もとんがった感じにしたものでチクリと言われるのではないかと思っていました」と振り返ったが、反応は前向きだった。「父は『自分はそういう一歩が踏み出せなかった。3人が仲良く覚悟を決めて同じ方向を向いているのはうれしいし、新しいことをやって突破口を見つけたいという3人の気持ちがわかるからこそ、何をやってもいい。怒られることがあったら、お父さんがやっていいって言ったといいなさい』と言ってくれたんです。頼もしいというか、すごく格好いいなと思いました」。

衝撃の金髪学ラン姿の意味は公演来場者に配られるパンフレット内で明かされるという。歌舞伎の初心者や若者でも楽しめるよう人気の高い「弁天娘女男白浪」(べんてんむすめめおのしらなみ)と「高坏」(たかつき)を選んだ初の自主公演。「一門の力をみせて、歌舞伎界や成駒屋に恩返ししたい」(橋之助)と語る公演がどんなものになるのか楽しみである。【松尾幸之介】