女優奈緒(28)が主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ「あなたがしてくれなくても」(木曜午後10時)の最終話が22日に放送される。
同局の三竿玲子プロデューサーがこのほど取材に応じ、制作の舞台裏を語った。全3回の第2弾は、同ドラマを盛り上げた4人の配役の意図について聞いた。【取材・構成=高橋洋平】
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絶妙という言葉が一番しっくりくる。奈緒、永山瑛太(40)、岩田剛典(34)、田中みな実(36)の4人が織りなす演技なくして「あなたがしてくれなくても」は語れない。奈緒が演じるみちは、結婚5年目でセックスレス。どこにでもいそうな平凡なOLを淡々と演じている。
「原作を読むと、みちはすごく普通の女の子なんですよね。自分の会社の隣のデスクに座っているんじゃないかな、というぐらいの普通の女の子。これを誰に演じてもらうのがいいのか考えた時に、私は奈緒さんがいいと思いました。(演技など)いろいろ見させていただいて、すごくすてきな役者さんで。普通のことをチャーミングに演じられる、等身大というものを、あれだけチャーミングに演じられる方ってなかなかいないと思うので」
飾らない奈緒の演技に、ツイッターでは「感情移入しちゃう」「泣ける」など、さまざまなコメントが書き込まれた。
「ちょっと言葉が合っているか分からないですけど、女優さんって皆さんおきれいで、自分とは違う、高根の花という感じがあると思うんですが、もちろん奈緒さんもきれいな女優さんなんですけど、本当にすごくかわいらしくて、親しみやすくて…。私、昔から友達だったかな? と錯覚するような。奈緒さんにやってもらえたら、この主人公はすごく愛してもらえるなと思ったので、直感というか。みちという役を考えた時に奈緒さんがいいなと思ってオファーをしたんです」
一方、みちの夫の陽一役は永山が演じている。第10話の後半、陽一が「子ども欲しいって聞かれたときに何て言って欲しかった?」とみちに聞くと「みちの子どもが欲しいって言ってほしかった」と言われた。陽一は「俺にはその言葉、言えないよ」と言いながら、離婚届に判を押す姿が印象深い。ダメ男ではあるが、どこか人間くさい役柄が、非常に魅力的だった。
「陽一という人は、原作でもファンの人が『陽ちゃん、酷い!』と言うような人で。でも、なんていうか、憎めないんですよ。やってることは最低だし、みちからは見えていない部分もあるけど、漫画を読んでいる読者はみんな見えちゃうじゃないですか、陽ちゃんの気持ちが。『陽ちゃん、何言ってんの』って、女性陣は思うんですけど、でも嫌いになれない男の人なんですよね。そのキャラクターが」
ダメ男を本当のダメ男に見せないのが永山の演技力だった。
「これが結構難しいなと思っていて。漫画は陽一の心の声をたくさん描けるので憎めないキャラだと分かりますが、実写だとそこまで心の内を言葉にできないので、全部そのままやったら、ただの本当に嫌なやつになってしまう。キャスティングをどうしようと思っていた時に、瑛太さんにお願いしようとなりました。百戦錬磨でたくさんの役をやられていて、確かな演技力といろいろな表現を持ってらっしゃるし、大人の男の色気もありつつ、たぶん何かのインタビューで見させて頂いたのだと思うのですが、いたずらっ子みたいなちょっとカワイイ少年のような一面もあって。この人に陽一をやってもらったら、憎めない陽ちゃんになると思いました。女性が言われて嫌なセリフも、瑛太さんだったら何かしょうがないよねって思えるようにしてくれる。本当に奈緒さんと同じように直感的な部分もあるんですけど。なので、瑛太さんにお願いをさせていただいて、原作漫画の全巻を送って読んでいただきました」
永山の演技を見て、確信した。三竿氏の決断に間違いはなかった。
「瑛太さん演じる陽一を見た時、お願い出来て本当によかったなと思いました。本当に真摯(しんし)に役に向き合ってくださっているのが分かるし、陽ちゃんは、みちに対して酷いことをいっぱいするけれど、ちゃんとみちが好きなんだ…というのが、お芝居で伝わってくるんですよ」
一方、新名夫妻の演技力も際立った。岩田は奈緒の上司・新名誠役で、彼に憧れる会社の女性陣から“ニーニャ様”というあだ名が、ツイッター上でも定着した。
「新名さんって原作でも王子様だし完璧で。実際に完璧な人ってなかなか難しいなと思っていたんですけど、岩田さんってどこから切り取っても完璧な王子様なんですよ。そこが新名さんっぽいなって思ったのと、私が岩田さんをドラマとかで見させていただいて好きなのが、泣き崩れていたりとか、振られてしまったりとかする時の表情がすごくいいなと。笑顔もすてきなんですけど、泣き顔とか崩れている姿がすごく色気があるし、すてきだなって思える方だなと思ってて。そういうお芝居をされる方だなと思っていました」
誠はみちとの距離が近づく一方、反比例するように楓との距離は離れていく。
「新名さんってすごく辛い思いを積み重ねていく役。どんどん笑顔じゃなくなって、辛い顔が増えていく中で、その顔がずっと見ていられる人がいいなと思いました。それで岩田さんにお願いしました」
誠の妻、楓は雑誌の副編集長でバリキャリウーマン。完璧な姿の裏で、誠との間には溝が出来ていた。
「田中さんは本当に凜(りん)としていて。初めてお会いした時に、カメラも入っていない打ち合わせなのですが、話を聞かれるときにすごい背筋がピンとしていて。台本じゃなくて、ノートにボールペンで、監督のイメージする演技のプランをメモされていて。その姿に隙がないというか、美しかったんです。普段から、カメラの回ってないところでも、自分をちゃんと意識して過ごしている方で、丁寧に生きていらっしゃるんだろうなと。楓も、多分人前では常に意識して過ごしている人だろうなと思っていたので、ピッタリだなと思いました。人前で意識しているけど、人が見てないところで努力とか、もがいたりとかしているタイプ。同じだろうなと。きっと田中さんも家で誰もいないところで、すごく努力されているだろうなと思います」
田中の実像に近い配役が、結果的に田中の演技力を際立たせた。
「田中さんっていろんな役を演じているんですけど、割と正統派で本当に等身大という役をやってみてもらいたいなと私的には思っていて。『田中さんに一番近い役なんじゃないかな』というのは、西谷弘監督もお話ししていました。だからこそ、田中さんの中にあるものをいっぱい出してくれるんじゃないかというのを感じていて。実際、本当にすごくいろいろと考えてきてくださって、準備をいつも万端にして撮影に臨んでくださっています」(つづく=第3回は22日午前6時配信予定)
三竿氏は慶大卒業後、01年にフジテレビに入社し、ドラマ・映画制作センターに配属。「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」、映画「昼顔」、「BOSS」シリーズなどを手がけている。