「東京リベンジャーズ」新作は予定通り公開 延期や中止となった作品とは何が違ったのか

映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-」に出演する左から山田裕貴、北村匠海、吉沢亮(2023年撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

メインキャストの1人、永山絢斗容疑者(34)の逮捕に揺れた映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦ー」が、予定通り30日に公開されることになった。

同様にメインキャストの市川猿之助(47)が「一家心中事件」を起こし、公開延期となった「緊急取調室 THE FINAL」とは、対照的な結末である。

永山容疑者の大麻取締法違反(所持)が軽い犯罪というわけではないが、両親が死亡している上に真相が未解明の猿之助のケースとの間に大きな違いがあったことは理解できる。

振り返れば、一昨年の映画「いのちの停車場」でも、撮了後にメインキャストの1人が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。この時も、その出演シーンをカットすることなく、作品は公開されている。

製作・配給した東映の当時の社長、手塚治さんは残念ながら今年2月に亡くなったが、この問題を踏まえた考え方を2年前の会見で明らかにしている。

「逮捕の報道はショックでした。これを受け、製作チームと、関係企業の間で何度も相談を続けました。そして東映としては、この俳優の出演シーンをカットせずに完成させ、公開することとしました。映画は元来、作品を鑑賞しようという意志を持ったお客さまに映画館にお越しいただき、有料でご覧いただくクローズドなコンテンツです。テレビ、CMとは質の異なるものであると思っております。作品と個人は別のものであるという東映の見解により、今回は作品を守るという判断をしました」

出資社を募る近年の製作委員会方式では、出資企業それぞれの意向を確認する必要があること、映画というコンテンツの特性、そして「作品に罪はない」という映画人の思いを端的に示したコメントだった。

主演の吉永小百合(78)も「(問題となった俳優との共演は)撮影3日目だったんですが、お互いに思いやいろんなものをぶつけて、多分いいシーンが撮れたと思っているものですから。今回のことを報道で知って残念な思いでいます。何とかこういうことを乗り越えて、また撮影現場に帰ってきてほしいと思っています」と心中を明かした。

今回の「東京リベンジャーズ-」の公開は、この「いのち-」の時の判断に倣ったのだと思う。

吉永は俳優仲間として温かい言葉を贈ったが、法に触れる行為である以上、その軽重を安易に語るべきではないだろう。が、過去の例をたどれば、大麻取締法違反に問われた俳優の現場復帰が、依存性の強い他の薬物事犯に比べて格段に早いのも事実である。

一方で、監督の性加害が告発され、公開延期を飛び越えて中止となった昨年3月の映画「蜜月」の例もある。

被害を受けた女優たちの訴えが、決して小さくないうねりとなった結果と言える。問題の対象となったのが、製作の主体である監督であること、加えて一部に根強くあったパワハラ体質や性差別への憤りが、米国の#Me Too運動の時流もあって、一気に噴き出したことも背景にあった。

が、何より観客の気持ちを考慮した結論であることは間違いない。映画館の暗闇をイメージすれば、この告発を知りながら、平常心でスクリーンに向き合うことは難しい。所持や使用に限れば、被害者のいない薬物問題とは、観客の受け止め方も大きく違う。

長年映画の取材をしてきた者として「作品に罪はない」という思いは痛いほど分かっているつもりだが、その作品を支える観客の気持ちが、公開か延期か、それとも中止かを判断する上での重い基準になっていることは間違いない。【相原斎】