菊地凛子「これはないね」と思った上海映画祭で最優秀女優賞 熊切監督と「2人で感極まった」

映画「658km、陽子の旅」の舞台あいさつで笑顔を見せる菊地凛子(撮影・江口和貴)

菊地凛子(42)が10日、東京・テアトル新宿で行われた邦画初の単独主演作「658km、陽子の旅」(熊切和嘉監督、28日公開)完成披露試写会で、6月の上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の3冠を受賞した喜びを語った。

菊地は劇中で、父の訃報を受けて東京から青森県弘前市の実家までヒッチハイクをすることになった、主人公の陽子を演じた。引きこもりがちの生活だった陽子が、東京から青森をたどる旅の中で出会う人々とのトラブルや温かい交流を通して、久しぶりに他人と関わることで長年の自分への後悔をあらわにし、孤立した心を癒やしていく一夜を描いた。

菊地は、上海映画祭授賞式での思いを聞かれ「本当に映画祭の会場が広くて。ど真ん中の席で、どっちにも出られない。受賞した方は端に座っていたので『どう見ても、これはないね。来られて良かった』という感じ」と、座った位置から受賞はないと判断したと振り返った。そして「自分の名前が呼ばれた時、あぁっ…と、ビックリした。光栄ですし(作品を)初めて観客に見ていただける場所。温かかったですし、反応が伝わってきた」と、感慨深げに振り返った。

受賞した自身の姿を、目の前で撮影していた熊切和嘉監督(48)の手は、震えていたという。菊地は「私の前で(登壇した様子を)撮っていた監督の手が震えていて、2人で感極まった」と振り返った。すると、同監督は「僕は、何となく取るだろうと思った。その後、撮っていたら、こみ上げるものがあり、手が震えた」と、菊地とは対照的に受賞を確信していたと力を込めた。

熊切監督は、妻と共同のペンネーム「浪子想」で共同制作した脚本で、最優秀脚本賞を受賞した。壇上に上がった後、女性通訳から片言の日本語で「監督賞、撮ったら何、言うんですか?」と言われたものの、受賞を逃した。その後、最優秀作品賞を受賞したが「(監督賞は)違う人が取って、何だよと思ったら作品賞…頭、真っ白になった」と、笑いながら振り返った。

「658km、陽子の旅」は、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM(ツタヤ・クリエイターズ・プログラム・フィルム=TCP)2019脚本部門の審査員特別賞を受賞した、室井孝介氏のオリジナル脚本を原案に、熊切監督が菊地を主演に迎えて映画化した。完成披露試写会には、竹原ピストル(46)黒沢あすか(51)吉澤健(77)風吹ジュン(71)オダギリジョー(47)も登壇。