松竹は18日、中村獅童(50)寺島しのぶ(50)が、東京・歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」で上演される「文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)」に出演することを発表した。映画「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督が演出を手がける。
「文七元結」は、幕末から明治にかけて活躍した落語家三遊亭圓朝による人情噺で、歌舞伎としては、1902年(明35)に歌舞伎座で5代目尾上菊五郎が初演され、その後も何度も上演されている。ばくちに溺れる左官の長兵衛と女房のお兼、親思いの娘お久、身投げを止められた文七の物語。江戸の町に生きる人々の心を細やかに描いている。
山田監督は、中村勘三郎さんのリクエストで07年に「人情噺文七元結」の補綴(ほてい)を手がけたほか、勘三郎さんとタッグを組み、10年、11年に「人情噺文七元結」を上演した経緯がある。今回は山田監督によって脚本、演出を一新し、新しい「文七元結」が誕生する。
歌舞伎座では初演出となる山田監督は「女房もあきれてしまうくらいダメな男と、ダメな男にほれてしまった女。笑いのある舞台で、歌舞伎座に芝居を見に来た人を楽しませたい」と話している。
長兵衛を獅童、女房お兼を寺島が演じる。ほか坂東彌十郎、片岡孝太郎らが出演する。
歌舞伎座の歌舞伎興行にはこれまで初代水谷八重子が出演しているほか、2代目尾上松緑と山田五十鈴が共演した「シラノ・ド・ベルジュラック」、初代尾上辰之助(3代目松緑)と新劇の鈴木光枝が共演した「楢山節考」など、歌舞伎俳優と女優が共演した例もある。また、「文七元結」の娘お久役は女優が演じることも多く、歌舞伎座では波乃久里子が13歳と22歳の時に演じている。