世界3大映画祭の1つ、第80回ベネチア映画祭のラインアップが25日、イタリアで行われた会見で発表され、趣里(32)が主演した塚本晋也監督(63)5年ぶりの新作映画「ほかげ」(11月25日公開)が、オリゾンティ部門に出品された。
「ほかげ」は、塚本監督が自ら脚本も手がけたオリジナル作品。同監督は「終戦企画と銘打って準備撮影を進めた。世界の動きが怪しくなってきた今、どうしても作らずにはおれなかった、祈りの映画になります」と趣旨を説明した。
10月2日スタートのNHK連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロインを演じる趣里にとって「ほかげ」は、18年の「生きてるだけで、愛。」以来5年ぶりの主演映画だ。劇中で、戦争で家族をなくし、焼け残った居酒屋で体を売って生きる女を演じた。喪失感にさいなまれる中で出会った戦争孤児との関係に、ほのかな光を見いだしていく役どころで「たくさんの心に留めておかなければならないことを教えていただいた。一瞬一瞬の感覚がいとおしく、悲しく今でも忘れられません」と振り返った。塚本監督は「少女のような容姿の中に限りない可能性を秘めている。役そのものに完全に同化し、とてつもなく大きなエネルギーを発する」と趣里を起用した理由を語った。
戦争孤児と関係のある片腕が動かない謎の男を森山未來(38)が演じる。「荒廃した世界で必死に生き延びようともがく主人公の無垢(むく)な瞳を通して見える世界は、監督のまなざしそのもの」と評した。
塚本監督は14年の「野火」と18年の前作「斬、」がベネチア映画祭コンペティション部門に出品された。
ベネチア映画祭オリゾンティ部門は、新鮮で革新的な作品が選出される部門で、邦画では前回の第79回に、妻夫木聡の主演映画「ある男」が出品された。