BiSH「やりきった」モモコグミカンパニー小説2作目「悪魔のコーラス」で伝えたかったこと

自身第2作目となる「悪魔のコーラス」を発表したモモコグミカンパニー(撮影・浅見桂子)

<情報最前線:エンタメ 小説>

元BiSHのモモコグミカンパニー(年齢非公表)が先月21日、小説「悪魔のコーラス」(河出書房新社)を刊行した。大手書店の週間ベストセラーにランキング入りするなど、好調なスタートを切っている。同作は昨年3月のデビュー作「御伽の国のみくる」に続く第2作。このほど、日刊スポーツの取材に応じ、6月29日の東京ドーム公演を最後に解散した女子6人組パンクバンドBiSH時代の思い出や、文筆業への思いを語った。

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BiSH解散から約1カ月。モモコグミカンパニーのスッキリした表情からは、充実感が感じ取れた。

「休む暇もなく、事務所の移籍とか小説発売もあって、今までとは別のことでバタバタ忙しくしている感じです。過去を懐かしむみたいなこともあまりないですね。別物の自分って感じ。過去のグループ時代の自分と今の自分は完全に別物。BiSHの活動を最後までやりきったから、こう思えるのかなと思います」

BiSHにとって、最初にして最後の東京ドーム公演が解散ライブとなった。

「中野の60人キャパくらいのライブハウスから始まり、東京ドームで5万人に囲まれて。ストーリーが完全に完結しましたね。なかなか『やりきった』って、人間言えないものかなと思うんですけど…。アンコールの最後、舞台の下に下がっていく演出で、リフターから降りた時に自分が初めて発した言葉が『よし! やりきった!』っていう言葉だったので、やりきった感はあります」

BiSHは21年12月24日に23年内での解散を発表した。一方、メンバーは1年も前から解散について向き合っていたという。

「解散発表は2年前なんですけど、私たちが解散するって知っていたのは、もう3年前ぐらいなんですよ。だから、自分の今後について考える時間は、世間の皆さんが知るよりもたくさんありました」

だからこそ、作詞や音楽活動と小説執筆を並行することができた。昨年3月に、小説「御伽の-」でデビューした。

「小学生ぐらいから普通に書くことには興味があったし、小説の世界も好きだったんですけど。最初は全然死ぬものぐらいで書いている感じで、書き方も分からなかった。やっぱり解散っていうのが大きかったですかね。解散があったからこそ、自分でそこに手を伸ばしてみようと思えた」

デビュー作の反応は上々だったという。

「BiSHにいるうちに、小説を書く人だっていうことを伝えたい、読んでもらいたい、反応をもらってみたいっていうのがあったので、BiSHにいたときに1冊出しました。結構読んでもらったんですけど、私はいい反応しかもらえなくて。自信になりました」

BiSH解散後すぐさま第2作を発表することにも意味があった。

「解散するっていう事実があったからこそ、解散した後にも本を出したいという思いがありました。次の作品は、もっと幅広い人に読んでもらって、いろんな意見をもらいたかった。そういう狙いが自分の中にあって、学園ものにして書かせていただきました」

「悪魔の-」はミッション系学園中等部に転校してきた女子生徒が主人公。作品を通じて伝えたかったこととは何だったのか。

「自分の中で書きながら答えを見つけ出したいという、その答えは見つかったのかもしれないんですけど、その答えというのは信じるとか、何かに対して祈るとか。そういうふわっとした人とのつながりとかいう、概念的な部分の答えを何となく知りたくて。昨年の9月ごろから書き始めていたので、この本に自分の未来を託しているというか。このBiSHという大きなものが自分の人生から排除された。この先にどういう生き方があるんだろうって。そういう見えない部分を探りながら、この小説に託しながら書いていたのかな、と今思います」

18年、20年にはエッセーを刊行。小説2作品を加え、いまや立派な小説家だ。

「正直、本を出したから小説家ではないと思ってます。そこに伝えたいものがあるのかとか、そこでしか表現できないものがある、何かを持っている人、そしてそれを人が読んで、何かを感じ取ってもらえないと小説家って成り立たないと思ってて。小説家かどうかは周りが決めることだと思っています」

今後の作品展開についても意欲を見せた。

「書きたいものはあります。ぼんやりしたイメージというか、こういう構想を書いてみたいな、こういうストーリーを書いてみたいなって。私はあんまり生きる意味とかがよく分からない人間なんですけど、だからそういう分からないから書いてるっていう部分もあって。今回の小説で読んでくれる人がたくさんいればいいな、という気持ちはもちろんあるんですけど、そもそも誰のためにっていうと、やっぱり自分のために書いてて、それが人の手にわたるっていうことは、それはその人のためになるって考えています」

その先には文学賞受賞も見えてくる。

「正直、賞のことよりも、人が読んでどう思ったかっていう感想が今一番欲しいですね。賞ってちょっと光栄なことだと思うんですけど、自分とまだうまく結びつけられないような別世界の話な気がしています」

音楽に魂を込め、今度は言葉に魂を込める。形は変われど、表現者としての道を突き進む。

◆モモコグミカンパニー(本名、年齢ともに非公表)9月4日生まれ、東京都出身。国際基督教大卒業。15年3月から23年6月29日までBiSHとして活動。翌30日からワタナベエンターテインメントに所属。執筆活動やメディア出演を中心に文化人として活動予定。

◆悪魔のコーラス 舞台はミッション系学園中等部。転校してきた女子生徒が合唱部に入部したことから、不穏な出来事が起こり始める。執拗(しつよう)なイジメ、許されぬ恋愛、自殺、そして猫の惨殺などが絡んでくる。調査の先に見えてきた学園の裏の顔、ひそかに続けられていた禁忌の実態とは。クリスマスの合唱祭で、闇が明らかになる。