行平あい佳と青柳翔が語った「セフレの品格」撮影の舞台裏と、セフレを演じた心情

映画「セフレの品格」のキャスト対談を行った行平あい佳(左)と青柳翔(撮影・中島郁夫)

大ヒットレディースコミックスを実写映画化した「セフレの品格 初恋」(城定秀夫監督)が7月21日に、「-決意」が8月4日に連続公開された。2部作にダブル主演した、行平あい佳(32)と青柳翔(38)の対談を8月9日付日刊スポーツ芸能面に掲載した。その続編として、ウェブ特集をお届けする。第1回は、撮影の舞台裏を2人が語った。【村上幸将】

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行平は劇中で、女手一つで娘を育てる36歳バツ2の派遣社員・森村抄子を演じた。抄子に共感できる点があったからこそ演じる際、強く意識したことがあった。それは必死に働く派遣社員、娘を育てる母…そして、青柳が演じた初恋の人・北田一樹に対して…と、抄子の在り方の違いを、しっかりと表現することだった。

行平 (共感できる点は)もちろん、すごく、ありました。私は、対する人間によって違う声色だったり、テンションの振れ幅を大分、はっきりと作った。そうしておかないと、抄子が流されて生きているように見えてしまうので、そこのコントラストは普段より、はっきり目に出るように、声色から歩き方から意識していました。

青柳が演じた北田一樹は、バツ1の産婦人科医という役どころだ。前編の「-初恋」で、一樹は高校の同窓会で再開した抄子を、ホテルに誘う。数年ぶりのセックスの快感に、関係を深めることを求める抄子に対し、その気のない一樹はセフレになることを提案する。ただ、割り切った関係を女性に求める裏には、心に負った過去の傷があった。演じる中で、青柳は一樹に感情移入できた面があったと語る。

青柳 自分は、人とちゃんと誠実に向き合ってきたかなと反省する部分もあったところが、一樹に感情移入できた部分ではあるかなと思いますね。一樹は前半、ものすごい悪い人に見えるかも知れないですけど、そこから最後に至るまでの抄子に甘える、みたいな気持ちは、確認しながらやっていった感じですかね。

一樹は「-決意」で、とある事情から高石あかり(20)演じる17歳の少女・山田咲の面倒を見る事になる。次第に一樹にひかれていった咲は、抄子への嫉妬心から事件を引き起こし、それをきっかけに、一樹は抄子にセフレの関係を終わらせることを提案する。一方、30代後半に差しかかり年齢が気になっていた抄子は、一樹も若い女の子が好きだったのかと失望したが、会社で清掃員のアルバイトをしている、石橋侑大(27)演じる23歳のボクサー市原猛に思いを寄せられ、ひかれていく。

「-決意」では、猛にジムでボクササイズを教わった抄子が男女の関係となり、猛の家にも行くようになる。その中で、純粋な猛のことを悪く思えないものの、どこかで一樹のことが忘れられず、セックスの最中も、その目の奥は、猛への申し訳なさはもちろん、心ここにあらず、と言わんばかりの、不確かな色を帯びる。

行平は、そうした印象的な抄子の目の表現に繋がったのは、心中にあった1つの決意だったと明かす。

行平 私は、この作品に入るとなった時から、一樹しか見ないと決めていて。それを、はっきり自分の中に決めておかないと抄子の、心の内の一樹に対する思いが絶対に出ない、というのがありましたから。目の前に誰がいたとしても、一樹のことしか見ていない、というのだけが決まり事。そのために何かしたかというと…それだけを呪文のように唱えていたと言うか(笑い)現場中も、青柳さんのことを頼りにしていたというのも、もちろんありますし、だんだん、作られていく関係性みたいなのも相まって、役として目の前にいる人が誰であれ、というのは…ある意味、呪いのように考えていました(笑い)

一方“父”になった一樹の、優しくなっていくまなざしを細かく表現した、青柳の芝居の変化も光った。

青柳 共演者の皆さんに助けられた、という感じでしたね。(役どころとしては)ピリピリした関係性ではありましたけど、そういう気もなく撮影に臨めたのは、すごく助けられました。

過激なタイトルながら男女関係の本質を突く内容、ぬれ場を多数、描きながらレイティングはR15(15歳未満鑑賞禁止)で、高校生でも鑑賞可能な作品だ。そのレイティングについて、7月22日に東京・新宿バルト9で行われた「-初恋」公開記念舞台あいさつでの、城定秀夫監督(47)の発言が話題となった。同監督は武蔵野美大学在学中から映画を自主製作し、卒業後はフリーランスの助監督としてピンク映画、Vシネマを中心に実績を積んだ。

城定監督 この作品は、高校生でも見られるんです。そうは見えない仕上がりかと思うんですけど。現場で「それ以上、足を開いたら18」とか、その見極めが的確で速かったとお褒めの言葉をいただいた。僕が(ピンク映画を)やっていたころは、放送のことを考えて18に見える15…映倫の先生をだますテクニック、みたいなのを…R18+(18歳未満は観覧禁止)ギリギリのR-15映画を撮ることに頑張っています。

城定監督と、その発言についても2人に聞いた。

行平 (レイティングは)ギリギリで…ちょっと映倫さん、甘めだったかも(笑い)

青柳 城定さんの歴史もあるのかも知れない。あとは…純粋な方なので、悪意なく、こういう作品を数々、作られていると思うので、それも加味されていったのかも知れない。

行平 信頼感が絶対、ありますもんね。

第2回は、行平が今作で母娘初共演を果たし、尊敬する女優の寺島まゆみ(62)について、そして青柳とともに演じた、ぬれ場について語る。

◆行平あい佳(ゆきひら・あいか)1991年(平3)8月8日、東京都生まれ。早大卒業後、フリーランスの助監督として映画の世界に入り、CMなどの絵コンテライターとして活動。17年にTBS系ドラマ「コウノドリ」で、女優として本格的に活動を開始し、18年に城定監督の映画「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」で映画に初主演。主な出演作は、23年の日本tレビ系ドラマ「リバーサルオーケストラ」など。

◆青柳翔(あおやぎ・しょう)1985年(昭60)4月12日、札幌市生まれ09年1月の舞台「あたっくNo.1」で俳優デビューし、同年に劇団EXILEメンバーに。11年の日本テレビ系ドラマ「ろくでなしBLUES」に主演し12年の映画「今日、恋をはじめます」では第22回日本映画批評家大賞新人賞。22年のWOWOW「アクターズ・ショート・フィルム2」では、監督に初挑戦。主な出演作は16、17年の「HiGH&LOW THE MOVIEシリーズ」など。