行平あい佳が寺島まゆみから得た映画愛と女優の誇り 「セフレの品格」で母娘初共演を果たす

映画「セフレの品格 決意」公開記念舞台あいさつに登壇した、左から城定秀夫監督、高石あかり、行平あい佳、劇団EXILE青柳翔、石橋侑大、前野健太(撮影・村上幸将)

大ヒットレディースコミックスを実写映画化した「セフレの品格 初恋」(城定秀夫監督)が7月21日に、「-決意」が8月4日に連続公開された。2部作にダブル主演した、行平あい佳(32)と青柳翔(38)の対談を8月9日付日刊スポーツ芸能面に掲載した。その続編として、ウェブ特集をお届けする。第2回は、行平が今作で母娘初共演を果たし、尊敬する女優の寺島まゆみ(62)について、そして青柳とともに演じた、ぬれ場について語った。【村上幸将】

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行平の母、寺島は19歳だった1980年(昭55)に日活ロマンポルノ「宇能鴻一郎の貝くらべ」(白鳥信一監督)でデビューし、15本のロマンポルノ作品に出演。「ロマンポルノの聖子ちゃん」の異名で人気を呼び、歌手活動やラジオパーソナリティーとして活躍した。行平は、その母から大きな影響を受けた。

行平 もちろん、影響は受けていますし…映画が身近である、ということが私の人生の中でも、本当によかったなと思っていますし。しかも、母が活躍していた時代って、本当にもっともっと映画が今よりも、ずっとアナログな時代でしたから、職人さんが集まって作っているという感が今よりも、もっと強かった時期だと思うので、その時の話を聞けたりとかするのが、映画に対する憧れを強くしたのは、もちろんありますし、今が、もう少し冷静に楽しめているみたいな、ちょっとしたアドバンテージがあるかも知れないです。(母は)自分が、その仕事をしていることは言わなかったですけど、映画館に連れて行ってくれたりとか、テレビでやっている映画は見せてくれたりとか、映画を見る機会は多かったですね。

行平は早大卒業後、フリーの演出部、助監督から映画の世界に入ったが、母から「あなたの本当にやりたいことは何なの?」と問われたことが、女優の道に踏み込んでいく大きなきっかけだったと振り返る。

行平 大学を卒業してから芸能活動をしていい、というのが、うちの決まりだったので。でも、大学を出て、すぐに事務所に入れるわけじゃないし、別にキャリアもあるわけじゃない、ただの大学生が卒業しただけだから…。なので、助監督で勉強した感じです。(助監督は)ちょっと体力的には、きつかったですね。体力は本当に付きましたよ。体力と精神力を付けるために、やったんだと思います。ただ…あまりにも忙しくて、終盤は体調を崩し放題。具合が悪いけど(撮影現場に)行っている感じだった。母は、私が辞めるって言わなそうだなと思ってくれて…このままだと、マズいんじゃないかと本当に思ったみたいで。止めない限りやると思っていたと思います。25、26歳くらいの時に「ちょっと1回、人生を考えた方がいい時期よ」「もともと、やりたかったことを思い出した方が良い」と…そういう言い方だったんです。

寺島は「宇能鴻一郎の貝くらべ」で初めての裸の撮影に臨んだ際、泣き崩れたと語っている。同じ世界、状況に、娘である行平が身を投じる可能性があることに、何を思っていたのだろうか?

行平 多分「俳優をやるんだったら、そういうシーンは絶対あるからね」という…ただ、それだけだったと思います。そういうシーンがあるから、絶対やりたくないと言っていたら、出来ないから…この仕事は。母は、自分の時は風当たりが強かった時期だったりとか…そういう(批判的な)人がいるのは今も変わらないと知っているから、強く押してくれたわけではないですけど(女優を)やるという意思は、尊重してくれたという感じですね。

行平は劇中で、派遣社員として働きながら女手一つで娘を育てる36歳バツ2の森村抄子を、青柳は抄子の初恋の相手でバツ1の産婦人科医の北田一樹を演じた。抄子は、高校の同窓会で初恋の相手で一樹と再会し、ホテルに誘われ、数年ぶりのセックスの快感に2人の関係を深めていきたくなったが、その気のない一樹からセフレになることを提案される。2人に、ぬれ場に臨んだ際の思いを聞いた。

行平 最初は、緊張しましたね。

青柳 緊張しましたね。

緊張が解けてきたのは、どのタイミングだったのだろうか?

行平 この日、というのはないですけど。

青柳 最初は結構、緊張していたんですけど…ホテルのシーンが続いている時があって、次の日、僕が先に(撮影現場に)行っていて(行平と)お会いして「僕以外の人と触れ合っているのを見るのが、ちょっとつらくなってきた」と言ったら「私も」と言ってくれてから…徐々に、すごくやりやすくなった。

行平 他の人と、ね…。いろいろ、バラけて撮っていたから(他の人と一緒は)全然、あり得ましたね。行平の興味で、違う人との関係を見ると、へこんで帰りました。(同窓会での一樹の)登場シーンは(演じた抄子としては初恋の相手との再会で)憧れで楽しみにして見ているから(他の女性に)囲まれているところに行けないもどかしさは結構、リアルにやれた。

シリーズ累計430万部(紙、電子)を突破した、湊よりこ氏の同名漫画を、連載から12年を経て映画化したが、原作とは、やや違いもあるという。

行平 原作の漫画が、ものすごく美しく描かれているので、原作ファンの方の期待があるというの(プレッシャー)が、ぬれ場のシーンにプラスしてあったので。あの画を、どう人間に落とし込もうかというのは、気を使いました。

青柳 原作より結構、マイルドになっているんですけどね。

行平 そう! 原作の方が、エッチなんだよな、もっと(笑い)

青柳 そうなんですよ…もっと。

行平 映画の方が全然、マイルドです。

最後に、「-決意」が公開中の中、2人に作品について思いを存分に語ってもらった。

青柳 そうですね。レイティングはR15(15歳未満鑑賞禁止)なので、15歳でも恐れずに見に来ていただきたいですね。R18+(18歳未満は観覧禁止)じゃなくR15なので…もしかしたらお父さん、お母さんには内緒になるのかな?(笑い)

行平 大人になっても、こうやって恋愛して良いんだなって思ったら、きっと今…学生時代の、ちょっと狭いところの恋愛に固執しなくなると思う。そうしないで良ければ、楽になる…そういうふうに見てもらっても良いと思う。大人になっても全然、こういうことって、続くからなと(笑い)

青柳 この物語に関しては、一樹の過去が深く関係しているし。抄子さん以外の人(セフレとして関係を結ぶ女性)に対しても、人をカウンセリングしているようで、自分がカウンセリングされているみたいなところも、あるような気がしていて…。何か、そういう関係性もあるのかな? と思ったりしますね。脚本プラス、撮影に入る前から城定さんと行平さんに、何でか分からないけど、安心感があったのは確かです。

行平 良かったぁ! もう、本当に私にとっても、今まで…まだ5、6年の芝居の歴と、私が人生で今まで生きて普通に生活してきたものを出せる役だったので。抄子に出会っていなければ、もうちょっと、子供っぽいというか、本当に静かなミステリアスな見た目の、それだけの役に、すがって生きていたかも知れないなと思って。もっと声が低かったり、ドスが利いているお母さんとか、いろいろ面白いことは、まだまだいっぱいあるわ、と思って。この作品は心に留めて思い出して…大切にします。

青柳 今後については、もちろん、受けたお仕事は、誠実に向き合っていきたい。いろいろな役にチャレンジしたい…純粋に。

◆行平あい佳(ゆきひら・あいか)1991年(平3)8月8日、東京都生まれ。早大卒業後、フリーランスの助監督として映画の世界に入り、CMなどの絵コンテライターとして活動。17年にTBS系ドラマ「コウノドリ」で、女優として本格的に活動を開始し、18年に城定監督の映画「私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください」で映画に初主演。主な出演作は、23年の日本tレビ系ドラマ「リバーサルオーケストラ」など。

◆青柳翔(あおやぎ・しょう)1985年(昭60)4月12日、札幌市生まれ09年1月の舞台「あたっくNo.1」で俳優デビューし、同年に劇団EXILEメンバーに。11年の日本テレビ系ドラマ「ろくでなしBLUES」に主演し12年の映画「今日、恋をはじめます」では第22回日本映画批評家大賞新人賞。22年のWOWOW「アクターズ・ショート・フィルム2」では、監督に初挑戦。主な出演作は16、17年の「HiGH&LOW THE MOVIEシリーズ」など。