珠城りょう、宝塚退団後初ミュージカル「天翔ける風に」で主演!「VIVANT」では「別班」

宝塚退団後、初のミュージカル出演に熱い思いを語った珠城りょう(撮影・たえ見朱実)

<情報最前線:エンタメ 舞台>

元宝塚歌劇団月組トップスターの珠城りょうが、ミュージカル「天翔ける風に」(東京芸術劇場プレイハウス、29日~10月9日)に主人公の三条英(はなぶさ)役で出演する。21年8月の宝塚退団後初のミュージカル出演となり、意気込みなどを語った。また現在、TBS系連続ドラマ「VIVANT」(日曜午後9時)に「別班」の一員、廣瀬瑞稀として出演。モンゴルで行われたロケについても語った。【高橋洋平】

   ◇   ◇   ◇

黒のシックな衣装で現れた珠城の目は輝いていた。

「自分にとって2年ぶりになるので、ドキドキしています。とてもいい機会をいただいた。今、持てる力を全て注いでこの作品と、三条英という役に挑んでいきたいなと思います」

同作はロシアの文豪ドストエフスキーの小説「罪と罰」をもとに、演出家・野田秀樹氏が幕末の日本を舞台に描いた「贋作・罪と罰」をミュージカル化。主人公の三条を演じるにあたって、原作を読破していた。

「すごく二面性があるというか。彼女自身、非常に自分が選ばれた天才であるという傲慢(ごうまん)な考え方がある一方で、家族に対する愛情とか、他人に対する優しさっていうのも持ち合わせている。そのあたりが非常に面白い。多面的にいろんな表情や感情を日々抱いているのが人間だと思うので、特に三条英っていう人間もある種、特殊な思考を持っている人物なんですけど、その中でも人間らしい部分は彼女の中に存在しているので、その両方をきちっと表現できたらいいなと思っています」

三条は江戸開成所に通う塾生。彼女以外は全て男という社会で暮らしていた。そんな三条は高利貸の高齢女性の殺害を計画するが、偶然居合わせた高齢女性の妹までも殺してしまう。

「冒頭で事件が起こって物語が大きく動きます。結局は自分がしてしまったその罪というものに、さいなまれていくというか。自分が天才であるという部分と、自分は非凡人であると信じている中で、自分のやったことが正しかったんだろうかということを、葛藤しながら物語が進んでいくので、精神的にきついだろうとは思っています。身を削って表現しなくてはいけない役だと思うので、そのあたりを見ていただけたら」

宝塚では男役を務めてきた。女性を演じることに対し「抵抗とか違いは意外とない」と前置きし、切り出した。

「男役の時の方が、男性的に見えるように意識していました。それを意識しなくてよくなっただけなので、女性を演じるという部分では、何の難しさもストレスもありません。ただセリフの言い方とか言い回しは、宝塚というのはちょっと独特の型がある。その癖は結構自分にあるということは、退団してからお仕事をやらせていただく中で、自分が新しい世界にもうちょっと順応していかないととは感じました」

同作は01年の初演、03年の再演を香寿たつき、13年の再々演は朝海ひかるが務め、歴代の宝塚の先輩たちが務め上げてきた。

「お客さまに響いて、愛された作品だからこそ再演されている。それを10年ぶりにやるということは、それだけ皆さんが大切につくり上げてきた作品。それを受け継いでいきたい」

今回、あえて過去の上演VTRは見てないという。今作の演出・振り付けを担当する元宝塚男役の謝珠栄(しゃ・たまえ)さんからある言葉をかけられていた。

「台本を受け取って、ちょっとでも新鮮な気持ちで見てほしいっていうことを言われました。謝さんから映像は見ないようにしてほしいと言われたので、初めて台本を読んだ時と他の皆さんとセリフを交わした時に自分がどういう風に感じるかという感覚を大事にしたいなと思ってます」

キャスティングは、謝さんの指名だったという。

「謝さんからぜひ、と。宝塚時代にしっかりお仕事したのは1作品だけ。私が退団するときに『本当にもっといろんな仕事をあなたと一緒にしたかった』っていうことを言ってくださって。それで退団後に『この役きっとあなたに合うと思うんだけど、ぜひ一緒にやりませんか』とお声掛けいただきました」

退団から2年。テレビの連続ドラマに出演するなど、活動の幅を広げている。

「どうしても宝塚の元男役となると、クールでかっこいいみたいなイメージがあると思うんですけど、それだけの存在にはなりたくない。それは自分の武器として、やってと言われたら絶対できるものなので、逆にそうじゃないものをやれるようになりたいなと思っています」

宝塚では非日常を描いた作品に多く出演してきた。だからこそ今は、日常を描く作品に興味がある。

「例えばドラマとか映画の現代劇ってなると、そういう日常を演じられなきゃいけない。そういう作品が来た時にちゃんと生活感が出せるようになったりとか。本当にただの人間として存在できるようになりたいし、これと決めずに幅広く挑戦していけたらいいなと今は思っています」

○…珠城は「VIVANT」に出演。モンゴルロケでの思い出を語った。「刺激的でした。CGじゃなくて実際に建物だったり、そういう場所で撮った時にすごく五感が刺激されました。土地のにおいとかは現地に行かないと感じられないものだったので、すごくいろんなものが刺激された非常にいい時間でした」。食事は日本人のマスターが経営しているお店の定食や、モンゴル名物のラムしゃぶを堪能した。

○…珠城は6月にデジタル写真集「Moments」、8月に「Journey」を発売した。第1弾は主にスタジオで、第2弾は長野・八ヶ岳で撮影した。「ロケで行かせていただいたんですけど、旅をテーマに、比較的自分の素の表情を切り取ってもらえるような感じで、自分のやりたかったことに挑戦させてもらいました」と笑顔で語った。

◆珠城(たまき)りょう、10月4日、愛知県蒲郡出身。08年宝塚歌劇団94期生として入団。月組に配属され、入団3年目で新人公演の初主演に抜てきされ、9年目で月組トップスターにスピード就任。21年に退団後は舞台「Greatest Moment」「マヌエラ」、TBS系連続ドラマ「マイファミリー」「VIVANT」、映画「わたしの幸せな結婚」など多数出演。

◆衣装 ▼トップス、パンツ(アールビーエス)▼ネックレス(フミエタナカ/すべてビームス ウィメン原宿)▼グレースカーフ(マニプリ)▼ネイビースカーフ(マニプリ×デミルクス ビームス/ともにデミルクス ビームス)▼シューズ(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)▼イヤリング(アビステ)