<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
伊藤蘭が2日に東京・国際フォーラムで4800人を集めて開いた、デビュー50周年記念ツアー特別公演「伊藤蘭 50th Anniversary Tour ~Started from Candies~ Celebration day!」を見に行ってきた。その3日前に62歳の誕生日を迎えたキャンディーズ直撃世代の記者にとっては、またとない誕生プレゼントだった。
1973年(昭48)9月1日のキャンディーズのデビューに合わせたスペシャルな公演。オープニングの「春一番」のイントロが流れた瞬間、斜め前に座っていた薄くスリきれたような頭に鉢巻きをまいていたおじさんが「ラ~ンちゃ~ん」と絶叫しながら立ち上がった。
78年に今はなき後楽園球場で行われた解散コンサート「ファイナルカーニバル」と同じようなセットリスト。スクリーに映し出された、当時のVTR「キャンディーズ1676日」にくぎ付けになった。
7月発売の“ランちゃん”のサードソロアルバム「LEVEL9.9」のため、6月にインタビューした際にいろいろな話を聞いた。キャディーズ全盛時代、記者は土曜の午後9時30分から公開生放送されていたTBSラジオ「ヤングタウンTOKYO」を見に行っていたのだが、お目当てはキャンディーズだった。
午後5時に東京・赤坂のTBSホールで抽選。外れればラジオを聞くしかないが、当たれば赤坂でパチンコか雀球をして時間をつぶしてから公開放送を見られる。その話をしたら、蘭ちゃんは当時、土曜午後8時から1時間の生放送だったレギュラーのTBS「8時だョ!全員集合」の話をしてくれた。「8時だョ!が東京近郊からの生放送の場合、そのまま赤坂に直行してTBSホールに駆け込んだ」という話にしびれまくった。
赤ラメの当時の衣装で登場すると「ラ~ンちゃ~ん、かわい~よ」とおじさんが、また絶叫。懐かしの応援歌「SUPER CANDIES」から始まったキャンディーズメドレー。「ハートのエースが出てこない」「年下の男の子」「やさしい悪魔」「哀愁のシンフォニー」「暑中お見舞い申し上げます」「微笑みがえし」と続いた。蘭ちゃんとバックコーラスに女性2人がついてスーちゃん(田中好子)とミキちゃん(藤村美樹)のパートを歌って、完璧にキャンディーズが再現されていた。
ランちゃんは「あれから50年もたったなんて本当に怖い(笑い)。こうして、今日会えるのも、お互いに『おめでとう』と言うしかないですね。1978年4月4日に後楽園球場のラストステージで見た、あの光景は忘れることができません。皆さんの理解があったからです」と人気絶頂での解散を振り返った。そして「4年前の遅すぎるソロデビューも、皆さんの理解があったからです。スーさんとミキさんに出会えたことで人生が変わった。2人の存在は誇りであり、自慢です。ありがとう、キャンディーズ」と笑顔を見せた。
今月1日には記念作品としてキャンディーズのCD5枚組BOX「プラチナム・コレクション」が発売された。蘭ちゃんとミキちゃんが、それぞれのお気に入りをセレクトしている。
感動に打ち震えるコンサートだったが、ランちゃんが「この曲の譜面を初めてもらった時の胸の高鳴りがよみがえります」と言って、デビュー曲の「あなたに夢中」を歌い出した時は胸が締め付けられた。この曲の歌い出しはスーちゃんこと田中好子さんなのだが、2011年(平23)に亡くなっている。ランちゃんの歌い出しを聞いて、改めてスーちゃんはいないのだと涙がにじんできた。
同じく“わが青春の3人組”の少年隊の東山紀之(56)がジャニーズ事務所の社長に就任した。20年(令2)に錦織一清(58)と植草克秀(57)がジャニーズ事務所を退所した後も「少年隊」の名跡は残されてきた。いつの日か復活することを、ずっと信じていたが、東山は今年いっぱいでの芸能活動引退を発表した。最後に少年隊の復活を! と願うのは欲張りすぎだろうか。伊藤蘭コンサートを思い返しながら、そう思った。【小谷野俊哉】