東京・歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」が2日初日を迎えた。昼の部で、山田洋次監督(92)が脚本、演出を手がけ、中村獅童(51)寺島しのぶ(50)が夫婦を演じる「文七元結物語」が上演された。
落語で親しまれている物語を元にした歌舞伎版はこれまでに何度も上演されてきたが、山田監督が演出、脚本を一新した。獅童と寺島が演じる夫婦や、長屋の人々のやりとりに終始笑いが絶えず、温かい人情噺(ばなし)に拍手が送られた。
山田監督は「観客が身を乗り出して、せりふの1つ1つを聞こうとしていた。それが安心だなあ。2人(=獅童と寺島)の仲の良さが舞台からにおってくる。演技の構成を超える2人の値打ち」と満足そうだった。
寺島は歌舞伎座の本興行に初出演。花道の出から大きな拍手を受け、「音羽屋!」の声がかかる場面もあった。
終演後、寺島の母で女優富司純子は「舞台稽古から初日と見てきましたが、獅童さんを頭に、いい一座になっていてありがたいです」と話し、音羽屋! のかけ声について「音羽屋の娘ですからね。私よりも娘がうれしかったんじゃないかと思います」と話した。
昼の部はほか「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)」、夜の部は「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場」「菊」「水戸黄門 讃岐漫遊篇」。25日まで。