中村守里、新しい自分に…憧れは蒼井優 主演舞台「フラガール’23」で「一皮むけたい」

今月5日から舞台「フラガール’23」が開演。メインキャストを務める中村守里(撮影・たえ見朱実)

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若手注目女優、中村守里(20)がメインキャストを務める舞台「フラガール’23」(東京・赤坂RED THEATER、15日まで)が公開中だ。第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞にも輝いた06年公開映画の脚本家、羽原大介氏(58)が4年ぶりに手がけ、フラダンスに励む少女たちをはじめ、炭鉱労働者たちの絆も色濃く描いた最新作。今回は本番直前の稽古場にも“潜入取材”し、憧れの舞台に臨む中村、そして羽原氏に作品の魅力を聞いた。【松尾幸之介】

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舞台のクライマックスで着るフラガール衣装は、赤が基調の周囲とは反転した白ベース。中村は「これを着るのと着ないのでは踊る感覚も全然違うんですよ」と語り「最初はできなかったけど、ダンスはみんなでかなり頑張ってきました。見に来る方は楽しみにしていてほしいです。色が違うので、間違えたらバレちゃいますね」と笑った。

「フラガール」は憧れの作品。06年の映画公開時はまだ3歳で、同作に触れたのは「好きだった」という蒼井優の出演作を多く見ていた高校生の頃。「すごく感動しました。当時は体を動かすことが好きで、お仕事に生かせたらいいなと思っていた頃。『フラガール』を見てさらにそう思いました。なのでダンスも続けようかなと思っています」。

チャンスがめぐってきたのは今春。羽原氏の故郷、鳥取県倉吉市のPRムービーに主演として出演した際に、脚本・演出を担っていた同氏から「透明感があって素晴らしい」と評価され、今作での起用も決まった。映画を見て、わずか3年足らず。蒼井と同じ役で舞台に立つことになり「まさかですよね」と振り返り「蒼井さんは見ていて目力とかダンスの艶っぽさとか、ふとしたところで見られる存在が力強いなと思っています。私も蒼井さんの持つ芯の強さを取り入れたいなと思いつつ、自分にできる表現で味を出していけたらいいなと考えています」。

メインキャストの重圧に向き合う中で、稽古では周囲の共演者の姿に感銘も受けた。「みんな、すごく熱量があって真面目。先生役の稲村梓さんとかが仕切ってくれていて、私はおっとりしていましたね」と笑い、「そんなに引っ張っていく姿勢を見せられるタイプではないんですけど、作品に対する姿勢とかで1歩前に出て、自然と人がついてきてくれるような人になりたいなと思いました」。

7月からは4カ月連続で出演映画の公開も続いており、9月29日には青木柚とのダブル主演映画「まなみ100%」が公開初日を迎え、10月28日には主演映画「海鳴りがきこえる」の公開が控える。20歳を迎え、役者としての勢いも増してきている。「ありがたいですね」と感謝し「この人に会いたいとか、演技をやってもらいたいと言われるような人になることが目標です」と意気込む。今回の舞台でも「一皮むけたい」と掲げており「始まる前から思っていました。また新しい自分になる。最後までやりきれるかなと怖い気持ちもあるんですけど、毎公演、新鮮な気持ちで舞台に立って最後まで走り切れたらなと思います」と力を込めた。

共演する、福島出身の、なすびに「耳がいい」とほめられるなど、方言もしっかりとマスター。数カ月間のダンスレッスンでは足の皮もむけ、公開ゲネプロにはテーピングを巻いて臨んだ。自宅では料理をしながら独特な腰の動きを練習するなど、常に舞台のことを考える日々を過ごしてきたといい「真ん中に立つので練習はやってきたつもりです。今はもう1周回ってちゃんとできているかわからなくなってるかも」と笑顔をみせた。

初日を前に語った意気込みは「毎公演、戦いにいくぞという気持ちを忘れないでいこうかなと思います」。20歳の代表作とするべく、全身全霊で千秋楽まで駆け抜けていく。

■脚本家・羽原氏「期待通りのヒロインぶり」

羽原氏は抜てきした中村について「期待通りの若きヒロインぶりです。彼女の頑張る姿から必ずエネルギーを感じてもらえると確信しています」と語った。08年に初めて舞台版を手がけ今回で4度目。2度目の17年以降は映画からも大きく脚本を変更した。

きっかけは11年に起きた東日本大震災。「何か自分にできることはないかと思って(フラガールの題材となった)エネルギー革命期の常磐炭鉱を震災に置き換えて書いてみようと思いました」。史実には基づきつつ映画からは役名なども一新。今回は炭鉱で働く男たちのエピソードも強化した。「最近は不景気や不安定な世界情勢などで明るい話題がない。お芝居を見てもらうことで元気を与えられたらなと思っています」。

「フラガール」は羽原氏以外の演出家のもとで舞台化されることも多い人気作。そんな中で「面白いと思うものを最初から最後までやりたい」と昨今は小劇場開催にもこだわる。01年に立ち上げた劇団「昭和芸能舎」を解散し、22年から演劇ユニット「羽原組」を始動させた背景にもそうした思いがある。

稽古初日には「エラーしても全力プレーで楽しめるエンターテインメントを目指したい」と、演者たちに「プロ野球ではなく、甲子園決勝のような舞台にしよう」と呼びかけた。製薬関連会社の知人のつながりで終盤には福島・いわき市をイメージした香りも場内に漂う。「ぜひ楽しんでいただけたら」。五感で感じる羽原組の最新舞台となる。

◆中村守里(なかむら・しゅり)2003年(平15)6月14日生まれ、東京都出身。幼少期からバレエや新体操、ダンス、水泳などに励み、小学6年時に新体操で全国大会出場。中学1年時の公開オーディションで芸能プロ複数社の争奪戦の末、太田プロダクション入り。14歳の時に舞台「清らかな水のように~私たちの1945~」で女優デビュー。17年末からラストアイドルファミリーのグループ「Love Cocchi」として活動し、20年末に卒業。女優としては18年の映画初出演初主演作「書くが、まま」ではMOOSIC LAB2018で最優秀女優賞。7月には映画「ヒッチハイク」、8月にも映画「カタオモイ」と出演作が続々公開中。9歳と12歳上の2人の兄を持つ。164・5センチ。血液型O。