藤原季節(30)が30日、都内で開催中の東京国際映画祭アジアの未来部門に出品された映画「辰巳」(小路紘史監督、24年公開)舞台あいさつに、サプライズで登壇した。
「辰巳」は15年の東京国際映画祭で、日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞した「ケンとカズ」以来となる、小路紘史監督(37)の8年ぶりの新作長編映画。遠藤雄弥(36)が主演し裏社会に生きる男・辰巳を、復讐(ふくしゅう)を誓い辰巳とともに真相を追う少女葵を森田想(23)が演じた。藤原は、辰巳の弟を演じた。
藤原は当初、登壇の予定はなかったが、森田とともにサプライズで登壇。後藤剛範(40)と、演劇ユニット「オーストラ・マコンドー」を主宰する演出家ながら、今作に俳優として出演した倉本朋幸が着飾った中、私服で舞台に上がった。森田が「撮影が早く終わって、撮影帰りの私服です。小さなところから形になったものが…感慨深い」と笑えば、藤原も「私服です」と笑顔で胸を張った。
トークの中で、遠藤が「季節が結構、作り込んで」と藤原の役作りについて触れた。小路監督から「(米俳優)デニス・ホッパーみたいなアプローチ。風呂も入らないで現場、来たんだよね?」と聞かれると、藤原は「衣装を着たまま、漫画喫茶で寝泊まりして」と照れ笑いを浮かべた。すかさず、遠藤から「歯も磨いてなくて、季節の口の臭いがフローラルな…最後、それが興奮して」と突っ込まれると「今(完成した映画を)見ると唇の乾燥具合も変だな、と。ぶっ飛んで…くまも。ほとんどノーメーク」と笑った。
小路監督は、藤原の撮影について「中盤以降でセッティングし1週間、断食してもらっていた。雨で次の撮影が2週間後で、そこまで役作りは継続できない」と、撮影の都合で藤原に1度、断食を含む役作りをやめてもらったと説明。「1回、抜いてもらって、また撮影の1週間前になったら、その役作りをしてもらった。大したもんだと思った」とたたえた。
登壇者の中で、藤原だけが「ケンとカズ」から2作連続で小路監督作品に出演した。藤原は「『ケンとカズ』から出演して、2作目の話を聞いていた。『この先、小路さんの作品に一生、出られなくても良いから2作目だけは出してくれ』と懇願して、何度もオーディションを受けた。結果、小路監督から『遠藤さんの弟役、絶対良いからやってくれ』と言われた」と出演の経緯を説明。「現場に行かせて頂いて、遠藤さんとお芝居して覚悟に圧倒されました。ありがとうございます」と遠藤に感謝した。
藤原は、小路監督作品の魅力を聞かれ「言葉で説明するのは、ちょっと難しい。でも小路さんと自分のキャリアにとっても1、2作目が最も大事になることが、僕には分かった。この先、3、4作目を撮っても、1、2作目が小路紘史の初期衝動、生きざまが色濃く出るのが分かっていた。その意味で1、2作目でやった」と語った。小路監督も「シーン1の、季節の演じた弟が、1作目とこの映画をつなげてくれていて、撮っていても感度したというか、2人にとっても思い出に残っているシーン」と感慨を口にした。
藤原は「完成した映画を見た時に、辰巳と葵が向かい合った時、葵の顔に一瞬だけ弟の顔が映った瞬間に、自分の魂が葵に受け継がれた、引き継がれたんだなということが実感で分かった」と「ケンとカズ」から「辰巳」へ、作品としての魂を継承できたと自認した。