内野聖陽「私の闘志はひそかに育ち始めております」故井上ひさし氏作で一人芝居

舞台「芭蕉通夜舟」で主演を務める内野聖陽

俳優内野聖陽(55)が来年上演の舞台「芭蕉通夜舟」(24年10月・紀伊国屋サザンシアターほか)で主演を務めることが2日、分かった。

小説家で劇作家の故井上ひさし氏作で、松尾芭蕉の生涯を描く一人芝居。83年に小沢昭一が演じて初演され、12年には10代目坂東三津五郎で再演。来年は井上氏生誕90周年の節目で、12年ぶりの待望の上演で大役を務める。

内野は「この作品を読んだ時、とても共感するメッセージが込められていると感じました。面白いことを深く、そして愉快に、そして真剣に、表現していきたいと、期待と恐怖、ないまぜの状態の裏で、私の闘志はひそかに育ち始めております。どうぞご期待ください」と意気込みを語った。

19年に、今回も演出を務める鵜山仁氏と共に井上氏作の舞台「化粧二題」で一人芝居に初挑戦。第76回文化庁芸術祭演劇部門(関東参加公演の部)優秀賞を受賞した。再び同じトリオでの作品となり「前回の『化粧二題』では、見えない透明の劇団員たちが居て、一人で演じていても孤独感はありませんでした。でも今回は『人は独りで生き、独りで死んでいくより他に道は無い』ことを極めるために苦吟した芭蕉さんです。聞いただけでもすさまじい人生! 尻込みしそうです」と率直に明かした。

今作は40年にわたる芭蕉の俳人としての人生を、一人語りを中心に富士三十六景になぞらえて全三十六景で描く。めまぐるしい舞台転換、さまざまなシーンを支える黒子とも絶妙な会話を重ね、その人生を彩り豊かに表現する。

内野は「役者というのも孤独なお仕事です」と語り「井上ひさし先生の言葉の力、鵜山仁さんの熟練の演出、そして黒子役の若い共演者と共に、芭蕉の人生に食らいついて、挑みかかって、俳諧で道を究めた芭蕉の人生をあぶり出したいと思っております」と力を込めた。

また、演出を担う鵜山氏もコメントを発表。「『奥の細道』の序文には、『月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也』とあります」と語り「芭蕉は旅する、ハイクする、というのが通り相場ですが、この旅は、おそらく人の一生の射程を超えて、月日とともにどこまでも、銀河の果てまでつながって行くはずだと思います。そんな旅の道案内となるべく、アートがどんな役割を果たせるか、これがやはりわれわれにとっては、大きな関心事です。今回、内野芭蕉が、40年来の旅のタスキを受け継いで、悠久の旅路の船頭をつとめます」とつづった。

同公演は来年10月の東京公演を皮切りに、同11月以降も兵庫、愛知などでの上演を予定している。

◆内野聖陽(うちの・せいよう) 1968年(昭43)9月16日生まれ、神奈川県出身。93年俳優デビュー。96年NHK連続テレビ小説「ふたりっ子」で注目を集める。同年公開映画「(ハル)」で日本アカデミー賞新人俳優賞。15年「海難1890」で同優秀主演男優賞。ドラマはNHK大河ドラマ「真田丸」、TBS系「JIN-仁-」、テレビ東京系「きのう何食べた」など。舞台は「ハムレット」「最貧前線」「笑の大学」など。10月13日に最新主演映画「春画先生」公開。21年紫綬褒章受章。血液型AB。