【悼む】歌に全人生をかけた大橋純子さん 肝の据わったあねご肌のすてきな人

大橋純子さん(18年3月撮影)

「シルエット・ロマンス」などの大ヒットで知られる歌手の大橋純子(おおはし・じゅんこ)さんが9日午後4時14分に死去したことを11日、所属事務所が正式発表した。73歳。北海道出身。18年にがんであることを発表し、今年に入って再発したがんで療養中だった。

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大橋純子さんが亡くなった。

18年3月、早期の食道がんを発表した会見を取材した。都内にある所属事務所の大きくない会議室で、イスなどを片付けながらの“手作り会見”だった。病気の発表なのに、本人やスタッフに悲愴(ひそう)感が感じられず、大橋さんは「本当に実感がないの」「医師から根治すれば歌うことに問題ないと言われている」と時折、笑みさえ見せながら「完治後の歌人生に掛けたい」と強く言い切った姿を鮮明に覚えている。

この会見で最も語気を強めたのは、病気で公演などの仕事をキャンセルしたことを明かした時。歌手人生で初の公演中止を「それが悔しいのよっ」。本当に悔しそうな表情で「私の生きざまが今、問われている。次に期待してもらえたら幸せです」。歌うことが本当に好きで、歌に全人生をかけている肝の据わった人だなと実感した。

それからちょうど1年後、復帰会見も取材した。食道がんはすっかり消え「治療が終わって再発も転移もない」と笑顔で明かした。だが、検査で左胸に乳腺がんが見つかったと告白。最前列で聞いている記者が小さな声で「えっ」と声を漏らしたほどの驚きだった。「体は大丈夫ですか」と心配してしまったが、本人は既に全摘をして、再建手術も行ったと淡々と説明して「年明けから歌手活動に本腰を入れます」と力強く宣言。「年齢もあってキーは落ちているかもしれないけど、その自覚はない。病気の前と大きな変化はない」。そう言い切る姿からは、ステージに立つことを心の底から楽しみにしているのが伝わってきた。それと同時に、周囲に余計な気遣いをさせない思いやりも分かった。

11日に所属事務所が発表した文書には「あねご肌な性格もあり、決しておごることなく、私たちに背中(歌う様)を見せてくれました」とある。

記者記者が見た大橋さんも全く同様のあねご肌のすてきな人だった。合掌。

【松本久】