【インタビュー】多彩な顔持つモデル出身放送作家、勝木友香「やっと認めてもらえた泥臭い人生」

放送作家、料理研究家など多岐にわたって活躍する勝木友香

テレビ番組を支えるのはプロデューサーやディレクター、タレントたちだけではない。内容の企画立案などを行う放送作家も重要なスタッフの1人。その中で、モデル業からその世界へと飛び込み、料理研究家など多彩な顔を持ちながら特番含め約10本の番組で活躍を続けるのが女性放送作家、勝木友香(45)だ。

フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」やテレビ朝日系「林修の今、知りたいでしょ!」、日本テレビ系「浜ちゃんが!」、テレビ朝日「夫が寝た後に」など人気番組を担当中。20代の下積み時代から現在、そしてこれからの夢などを聞いた。【松尾幸之介】

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放送作家デビューとなったのは06年から12年まで放送していた俳優地井武男の紀行番組「ちい散歩」(テレ朝)。立ち上げが決まっていた同番組の作家を決める企画で選ばれ、加入した。平日午前9時55分からの散歩番組開始に「局内でもあまり大きな期待はされていないと聞いていた」というが、地井の人柄や穏やかな番組の雰囲気、演者を背中側から撮って流すなど当時はまだ珍しかった演出などで話題に。人気番組へと育つ様を感じながら、研さんを積んだ。

高校生の時にスカウトされ、業界入り。モデル時代はオスカープロモーションに所属していた。番組出演を重ねるうちに放送作家の仕事に興味を抱き、企画立案などを行うようになった。当時はまだ兼業などが珍しい時代。モデル出身ゆえ「浮ついた気持ちでやっているんだろう」「偉い人の愛人だから番組に入れたんだ」といったうわさを立てられることも少なくなかったという。

「できることはただひとつ、実力を身につけることだけでした」。駆け出し時代は文字通り、さまざまな場所を駆けめぐった。「ディズニー特番」企画の宿題が出た際はディズニーランドへと赴き、まだあまり気付かれていないネタ捜しに奔走。「都会に生えているきのこを探す」というミッションを課された時は「夜な夜な渋谷の街できのこを捜していました(笑い)」。時には特番で「変わったグッズを置いているラブホテルを探す」というハードな企画もあり「生涯、自分の口から言うことはないであろうと思っていた具体的な単語を発することになって。あの時はめっちゃくちゃ恥ずかしかったですね」と振り返った。

作家として認められるため、「企画は他の作家の2倍は採用されないと印象に残らない」と感じていた。足りない知識や情報を埋めるため、漫画喫茶で夜な夜な雑誌などを読みあさりながら企画がひらめくまで粘ったこともあった。「時には個人的に取材を申し込んで、取材料を支払って深掘りしたりもしていましたね」。

徐々に周囲の見る目も変わり、担当番組も増えた。女性の意見を欲していた「ホンマでっか!?TV」には番組演出家の推薦で途中加入。司会の明石家さんまとの縁はこれで3度目。モデル時代に「明石家サンタ」(フジ系)のアシスタントガールを務めていたことや、作家としても「明石家サンチャンネル」(TBS系)を担当していた時期もあった。

「ありがたいご縁を勝手に感じましたね。子どもの頃から母親もさんまさんのファンだったので。ご本人とお話しするような機会はありませんが、番組の一員としてお仕事をさせてもらっているのはうれしいです」と笑顔で語った。

「ホンマでっか-」では「ぽっちゃり女子」や「若く見える人」を題材とした企画などが話題に。長寿番組にもかかわらず、ここ最近はさらに視聴率も上がってきているという。

他にも10月から始まった自身も関わるテレ朝系深夜バラエティー「夫が寝た後に」はママタレントのぶっちゃけ話などが人気で、開始約1カ月半ながらTVer視聴数が快調な滑り出しに。女性らしい視点などから鋭い企画を提案することを心がけているという。

放送作家としても多忙だが、趣味から発展した料理研究家としての活動も続ける。和菓子作りなども得意とし、19年にはアメリカでフードビジネスに携わった経験もある友人の清水かをり氏と著書「おうちで作れる 野菜の和菓子」を出版。11月26日には東京国立博物館のTOHAKU茶館での和菓子作り体験教室開催も控えている。体験とは別に会場で勝木らの手作り菓子販売もあるといい「これまで著書にあったお菓子を実際に食べていただける機会がなかったのですが、今回ついに販売できることになりました。今までたくさんお問い合わせいただいていたので、ぜひ食べていただきたいです」と話した。

多方面で活躍を続ける一方で、さらなる夢もある。17年ごろから「自分の作品として何かを世に送りだしたい」と小説執筆にも精を出している。同年「第12回小説現代長編新人賞」では血縁関係のない父娘の愛情を描いた「父娘(おやこ)行儀」、18年「第8回ポプラ社小説新人賞」では北海道の離島のキャバクラで働く女性の奮闘を描いた「ピヌピヌ」(アイヌ語で「ひそひそ話」の意)で共に最終選考まで残った。

昨年も幼女殺人のミステリー作「逢魔ヶ森」で「第68回江戸川乱歩賞」2次選考を通過。「小説でも映画でもドラマでも、いつか形として出せたらいいなというのが今の夢なんですよね」。

モデルとして飛び込んだ業界で、立場を変えながら奮闘してきた約25年間。「だんだんと(作家としての)採用率も上がってきて、やっと周囲の人たちに認めてもらえたような泥臭い作家人生でした」。これからも謙虚にコツコツと、ひらめいたアイデアでお茶の間の人々を笑顔にしていく。

◆勝木友香(かつき・ゆうか)1978年(昭53)9月11日、福岡県出身。17歳の時に地元でスカウトされ芸能界入り。モデルとして活動しながら03年ごろから送作家を志す。05年には女性歌手グループ「煩悩ガールズ」としても活動。料理研究家の顔も持ち、フードコーディネーターや着付けインストラクターの資格も所持。SNSも人気で、インスタグラムのフォロワー数は約6万人。YouTubeチャンネル「和菓子チャンネル『ゆう香』」などで作り方も配信中。