テリー伊藤 ラジオ新番組で“昭和”を発信 文化、流行…「今あれば良いのにと思うことを紹介」

番組収録の合間に元気にポーズを決めるテリー伊藤(撮影・中島郁夫)

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テレビ界のご意見番、テリー伊藤(73)がTBSラジオでパーソナリティーを務める新番組「ドン・キホーテ presents テリー伊藤 昭和モーレツ天国」(土曜午後3時)が10月からスタートした。令和の時代に、テリーが「これから大きな媒体になる」と考えるラジオで“昭和”を発信する理由を聞いた。【加藤理沙】

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テレビの作り手として、時に自ら出演もしながら時代をつくってきたテリーがラジオに大きな可能性を感じている。

「テレビとラジオを一緒にやっている時から『ラジオ聞いたよ』という声は掛けられるけど、テレビで見たとは言われない。ラジオはリスナーとの距離が近くてシンパシーがある。特にこれから大きな媒体になっていくんじゃないかと思うんです」

さらに「テレビは行きすぎたコンプライアンスになりつつありますね。肩を組んでいるだけでたたかれてしまう時代ですから。ラジオだったら下ネタでも話題になるのに」と持論を展開。「テレビはVTRに沿ったコメントを言うのである程度完結している一方で、ラジオはパーソナリティーが話す部分が大きい。それが良いところだと思います」とした。

17年には、慶大大学院政策・メディア研究科修士課程に入学。ラジオ通信販売における消費者心理学を研究した。修士論文では「高齢者はなぜラジオ通販で商品を見ずに購入するのか」をテーマにした。

「ラジオの商品返品率が1%に対してテレビは5%、アマゾンは20%にも上る。テレビは見ることでマイナスに捉えるところがある一方で、ラジオは視覚がなく聴覚から入るのでマイナスに捉えないんですよね。そして、朝7~9時が一番商品が売れる。これもテレビじゃ考えられないことなんです」

ラジオでの距離感について「ラジオは“聞いている”という点でリスナーと同志なんです。テレビはみんなで見るけど、ラジオは1人で聞く。距離が近いのかもしれませんね」と話した。

町内会や井戸端会議など人との関わりが希薄になる昨今。「隣に誰が住んでいるかわからない今は、ラジオは寅さんみたいに、下町的な関係をリスナーと持ってくれる。僕は昭和の時代を生きてきたので、今回の番組も昭和の良さを知ってもらいたいと思って企画しました」。

新番組では昭和の時代のモノや音楽、文化や流行を紹介している。「今はコンプライアンスや時代背景が変わってなかなか出会えないハチャメチャなおばあちゃんや銭湯、お色気ソング。当時は水やお茶が商売になることも衝撃でした。本当は今でもあれば良いのにと思うことも紹介していけるのがおもしろい。楽しんでいます」と笑顔を見せた。

開始から約1カ月がたち、発見も多い。

「東日本大震災以降、応援ソングが多いのはシンガー・ソングライターが多いから、半径5メートル以内に届く歌が多い。昭和の時代は石原裕次郎さんのような男前を前提にして歌う歌だったり、阿久悠さんのような作詞家がいると俯瞰(ふかん)で世の中や若い人、恋愛を見る歌詞が多いので、今と違う見方をしていたんだと勉強になります」

今の若者は「僕らよりも情報収集が10倍速い。無駄がない。遠回りしない」とした上で「僕らは遠回りしてきたけど、その間におもしろいことがあったから、遠回りする生き方もおもしろいんです。今の若者もそれをどこかで感じ取っていて、味気ないと思っている人もいる」と分析した。

自身は来月で74歳。70代で仕事への思いに変化があったといい「死ぬまで仕事頑張りますというのはめんどくさい(笑い)。仕事がない方が普通というか」と率直な心境を明かした。

続けて「ラジオを聞いている高齢者の方の多くは仕事をリタイアしていると思うんですけど、『テリー伊藤、仕事なくなったんだ。それでも人生楽しく生きているんだな』と思われた方が良いですね。リタイアしている人の方がすてきな人生を生きていたり、社会貢献しているのを見ると、仕事の有無より“置かれた場所で咲く”をしている人がいいなと思うんです」。

最後に「日本はここは若い人、ここは老人と分けられているけど、ヨーロッパに行くと同じエリアで楽しんでいる。区切られていると寂しいし、もったいないんです。だからこの番組はエリアを越えておもしろいことを懐かしがったり、新しいと思ってもらいたい。平成や令和の人たちがそれを感じ取ると、ビジネス的にも感性的にも、さらに彼らが子どもを育てるときに生かせると思うんです」とアピールした。

◆テリー伊藤(いとう)本名・伊藤輝夫。1949年(昭24)12月27日、東京都生まれ。日大経済学部卒。73年テレビ制作会社IVS入社。85年開始の日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」や、87年開始のフジテレビ系「ねるとん紅鯨団」など数多くの番組を手がけた。出演番組はTBS系「サンデー・ジャポン」、TOKYOMX「テリー土屋のくるまの話」など。174センチ。血液型O。

◆「ドン・キホーテ presents テリー伊藤 昭和モーレツ天国」 テリーがフリーアナウンサー吉竹史(ふみ=39)と昭和の魅力を発信。バカバカしくもエネルギッシュでモーレツな時代の魅力が詰まった番組。