五十嵐諒、目標は「芝居追求し影響力持てるよう」震災の経験から見た人をポジティブな気持ちに

取材に応じた五十嵐諒(撮影・松尾幸之介)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

遅咲きでもいい。30代からのさらなる飛躍を目指す俳優がいる。五十嵐諒(31)。ここ約2年半はフリーとして活動しながら、来年には主演2つ含む映画6本の公開が控える注目株だ。芸能事務所数社からのオファーを受ける中、10月からベッキーや森カンナ、バスケットボール選手の馬場雄大らをサポートするGATEへ加入。夢へとつなげる新天地での思い、今後の活動について話を聞いた。

役者を志したきっかけは東日本大震災だった。当時は高校を卒業して地元・宮城県内での大学進学を控えていた頃。「実家の2キロ先まで津波がきましたね。友達には不幸な思いをした人もいて、何もできない歯がゆさを感じていました」。被災地には多くの芸能人らも訪れ、地元民たちを激励。そんな姿に感じるものがあった。「来ていただいただけで勇気をもらえて。自分もそうした立場の人間になりたいなと思いました」。

漠然とした思いを抱える中、13年に人生初の舞台観劇に向かった。舞台「バブー・オブ・ザ・ベイビー」。そこに出演していた田中圭の演技に感銘を受けた。「うちは母子家庭で、その時はまだ親に芸能の道に進みたいと言えてなくて。でも地元企業のCMに出ていたりして気付かれて「どうしたの?」と。その時に始めて『芸能の仕事がしたい』と伝えました」。

就職活動の内定も出ていたが、大学卒業後もアルバイトなどで資金をためて上京した。田中が所属する芸能事務所トライストーン・エンタテイメントに向かい、研究生として加入。レッスンなどに励み、17年にその田中主演の舞台「僕だってヒーローになりたかった」でデビューを果たした。田中には公私でお世話になったといい「あり方や周囲への気遣いなど、人としても好きですし、一生特別な存在です」と話した。

その後も映画「帝一の國」、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」など多くの作品に出演。21年5月に「30歳の節目も迎えますし、この先の将来をどうしていくか考えた」と契約更新の選択肢もあった中で、悩んだ末にフリー転身を決意した。

「僕は高身長だとかイケメンとか、見た目にすごく特徴があるタイプではない。生きていくためには、いろいろな役に染まっていくことが必要だと思っています」と語る通り、役柄の幅は広い。フリーという立場ながら、今年も主演映画「明ける夜に」はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭など数多くの映画祭で入選。現在も主人公の婚約者役を務めた映画「恐解釈・花咲か爺さん」が公開中だ。特に受けの芝居の評価が高く、同じ監督らとのリピート出演作も多くなっている。

GATEにはTOKYO MXドラマ「ビューティフル・コンビニエンスワールド」などを見た現在のマネジャーから連絡が届き、所属へと至った。「熱い内容のメールをいただいて。うれしかったですね。会社の方々と面談して、ここから一緒に開拓していく面白さを感じました」。

直近も12月2日から始まる音楽や映画を扱う祭典「MOOSIC LAB 2024」(東京・新宿K's cinemaなど)で映画「明ける夜に」や「ビューティフル・コンビニエンスワールド」劇場版、同じくTOKYO MXで放送された「死神バーバー」の出演3作品の上演が決定。来年も主演映画2つ含む6本の映画公開が控えている。

目標は役者を志したあの頃と同じ「影響力のある人になること」。「震災経験はすごく大きな出来事でした。僕は役者は技術職だと思っていて、やるからにはうまくなり続けないといけない。お芝居を追求して影響力を持てるようになって、見た人にポジティブな気持ちになってもらいたい。これからもその夢を追っていきたいなと思います」。

着実に歩みを進めながら、30代を飛躍の時代にする。【松尾幸之介】

◆五十嵐諒(いがらし・りょう)1992年(平4)6月15日、宮城県仙台市出身。趣味はスポーツ観戦、サッカー、ドライブ、スノーボード。スポーツジムインストラクター歴5年。

身長171センチ。血液型A。