<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
さすが、ジャイアン…と、感じざるを得ない時間だった。先日、10月からスタートした、TBSラジオ初冠番組「木村昴の聴いてくれないと打ち切り」(金曜)で木村昴(33)をインタビューした。
約1カ月前、同番組のプロデューサーから「本番中に取材をお願い出来ますか?」と話を受けた。収録とは言え、本番中の取材など少なくとも私は受けたことがない。そして、同局を担当していることとは関係なく、記者は超が付くほどのラジオ好き。正直、ここ数年はテレビよりラジオを聴く時間が圧倒的に長い。「少しは配慮してくれるだろう」と、のんきに受諾してしまった。
当日、たった数分の打ち合わせのみで、本番スタート。少し緊張していたのだが、気付くとあっという間に収録が終わってしまった。というのも、木村の話があまりにも臨場感があって面白かったからだ。
中学生で挑戦した「ドラえもん」のオーディションについて、木村自身も「2次審査の出来事は思い返す度に思い出が色濃くなっていく感じ」と話したが、本当に目の前で起きていると思えるくらい面白い。声優だからなのか、ラジオのために“声で伝える”を意識してるのか…声だけで1人何役もこなし、こちらに当時の様子を伝えてくれるので、めちゃくちゃ笑える。
「中学2年生で電車でスタジオの住所に向かって、エレベーターで2階に行くの。ドアが開いたら、めちゃくちゃ大人がいて間違えたと思って、建物を出て、奥の道を行き来したりして。もう1回、2階に着いたら全員子どもであってくれ…と思って、開いたらやっぱり大人。その中の1人に『ドラえもんのオーディションです』って言われて絶望。昨日今日大人になった人じゃないからね。俺なんでここに来ちゃったんだ…なんで俺の事受からせたんだろうって。審査員の先生達にも、子どもの声くらい分かるだろ! って思ってましたよ」
気付くと、ブースにいる全員が笑っている。この話を既に聞いたことがある人も笑い、結果的にジャイアンのように“破壊的な”笑いを提供してくれた。
声優の仕事について聞くと「さまざまなキャラクターをやって『どれを聞いてもジャイアン』って言われることも多い。それはないでしょって思いますけど(笑い)。でも、僕の狙いはキャラクターによってこんなにも変えられるとアピールしたい。昴のダミ声最高! って声もありますけど、全てのキャラクターの声を変えてやりたい」と、意外にもダークな部分も見せながら、率直な思いを語ってくれた。
22年公開の映画「THE FIRST SLAM DUNK」(井上雄彦監督)でも、複雑な心境があったそうだが、それでも「今回は木村君によろしくという経験を人生で2度も出来た事はありがたくて、喜びの実感が最終的に勝った」という。確かに、国民的アニメの声優を33歳にして、2度務めている木村ならではの経験だ。
インタビュー後、木村が出演した作品を調べると、数え切れないほど多数の作品に出演。声優、タレント、ナレーター、ラッパーなどいくつもの肩書を持っている。木村の仕事ぶりに“ジャイアニズム”を感じたインタビューだった。【加藤理沙】