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女優市毛良枝(73)が、音楽のある朗読会「あなたがいたから~わたしの越路吹雪~」(12日、東京・けやきホール)に出演する。昭和を代表する歌手で女優越路吹雪さんのマネジャーを務めた作詞家岩谷時子さんを描いた作品。5年前に連続ドラマで岩谷さんを演じ、いつかまた演じたいと思っていた。思いはさらにさかのぼり、原点に戻る気持ちを感じている。【小林千穂】
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「あなたがいたから」では、生演奏とともに、岩谷時子さんの人生を語る。18年のテレビ朝日系「越路吹雪物語」で岩谷さんを演じた市毛にとって、念願だ。
「信じられない気分です。いつの日か、例えば半ば私が引退状態になった時に個人でできるレベルで、小さな場所でやっていければいいなというプランだったんです。こんなふうに開催できてすごくうれしいです」
越路さんと岩谷さんの関係に思いをはせ、魅力を存分に話してくれた。
「岩谷さんご自身は表には一切出なかった方ですが、心の中で描いていた理想とするエンターテインメント像を体現したのが越路さんだったと思うんです。越路さんというアーティストの才能に、マネジャーである岩谷時子さんがほれ込み、どうしたら一番輝かせることができるだろうという人生を生き、まっとうした。おふたりのことを考えるととても感慨、感動が深いんです。5年前に岩谷さんの役をいただいた時、私は勲章と思ってもいいんじゃないと思うくらいでした」
ドラマを演じ終えてからも、岩谷さんのことが心にずっと残っていた。朗読会の発案は市毛からだった。
「岩谷さんのことを、何か別の形でやりたいと思っていました。友人のシナリオライターも興味を持って2人でいろいろ調べだしたんです。室内楽と一緒に朗読する舞台を見て、こういうのおもしろいですねなんて話をしているうち、ぐっと実現に向かいました」
舞台は女優人生の原点でもある。映像作品での印象が強いが、文学座附属演劇研究所、俳優座小劇場養成所で学んでいる。
「舞台に立つたびに初心者になるんですが、やっぱり板の上っていいよねって思います。お客様と感覚を共有する喜びがあります。人ってやっぱり原点に戻るんですね」
ただ、「困ってるんです」と苦笑いも。
「台本の1行目から泣いちゃいそうなんです。岩谷さんが越路さんを思う気持ちを考えると、その気持ちが先に出てしまって。なんとか読み進むんですけど、途中やっぱり何カ所か、うっとなってしまうところがあって。本番が開いたらどうなるんでしょう」
岩谷さんには、幼いころの自分や母の姿も重ねており、さまざまな思いが詰まった舞台となる。また、「今回は2人の出会いや全体像が主となります。いろんなエピソードがありますので、もし次にやるとしたら、違うエピソードを深く掘り下げたりと、出続けられたらうれしいです」と、シリーズ化も希望した。
◆市毛良枝(いちげ・よしえ)1950年(昭25)9月6日、静岡県生まれ。文学座附属演劇研究所、俳優座小劇場養成所を経て、71年TBS系「冬の華」でデビュー。以後、映画、テレビ、舞台と幅広く活躍。日本トレッキング協会理事、環境カウンセラー。趣味は登山、ヨガ、社交ダンス。
■木南さんの路線を残す
日本テレビ系「セクシー田中さん」(日曜午後10時半)にも出演中で、主演の木南晴夏との縁も語った。「木南さんは『越路吹雪物語』で、若いころの岩谷さんを演じていて、彼女からバトンタッチをしているんです。木南さんは、すてきでおちゃめな時代の岩谷さんを縦横無尽に表現してくださいました。木南さんが作り上げた路線を私の中にも残そうと思いながらやらせてもらいました」。
■趣味と健康法 登山&社交ダンスで背筋ピ~ン
すっと伸びた背筋は登山や社交ダンスで作られている。登山の楽しさは、執筆や講演、メディアなどで伝えている。24年2月にはエッセー、「73歳、ひとり楽しむ山歩き」(KADOKAWA)が出版予定だ。この数年はコロナ禍で介護も重なったため、以前のようなペースで行けないが、近年ではニュージーランドをトレッキングして楽しんだ。「山に行ってる時は文章がいきいきしてるんですよ」と言う。
長い登山に行きづらい時期が続いたが、市毛は「ダンスが楽しくて、定期的に行っています。いろんな種目をやっているので、体力づくりはそちらでやっています」と表情をパッと明るくした。
ダンスの話題でも「原点に戻って」いるという。幼少期の夢はバレリーナで、国内外で活躍する森下洋子さんがあこがれだったと明かした。「バレエの森下さん、(バイオリニスト)佐藤陽子さんという2人の天才少女が同世代にいたので、父はバイオリンをやらせたいって言って、私はバレリーナになりたいって言ってました。どっちにもなれませんでしたが、今、ダンスを楽しんでいる。原点に戻るっていうのはそういうことかなって思います。バイオリンもやろうって思う瞬間があったらやるかもしれないです」と、軽やかに笑った。