俳優の新納慎也(48)は、作品に出演する度にロス現象を巻き起こす。放送中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」で念願の朝ドラ初出演を果たし、クセのある演出家・松永大星役を好演した。16年のNHK大河ドラマ「真田丸」では純真なおぼっちゃま・豊臣秀次、22年の「鎌倉殿の13人」では僧侶・阿野全成を演じ、いずれも出演終了時にはSNSで名残惜しむ声が続出した。新納に役者としての半生、今後の展望を聞いた。
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陽気で華麗でキザ、でもコミカルな「松永さん」で日本のお茶の間にさらに浸透した。「『普通はいないけど、ブギウギの世界観の中にはいるよね』っていうあんばいを悩みました。爪痕を残そうなんて考えていなかったです」。
意思とは相反するように強烈な存在感を示し喪失感を残す“矛盾”が起こるのが興味深い。背景には、自身が長年軸足を置いてきた舞台演技がある。「舞台って1、2カ月も前からみんなで話し合って稽古する。作品のために、どうあるべきかを考える」。作品と役が第一。それを踏まえて役に挑んできた。「(大河ドラマの)『真田丸』も『鎌倉殿』も『ロス』とか『印象に残りました』という声は俳優としてうれしい。ちゃんと自分の役回りが出来たんだなと」と役者冥利(みょうり)を感じる。
“かぎっこ”だった幼少期は映画館に通い詰め、夢は映画俳優だった。映像俳優としての演技を勉強するつもりで大阪芸大に入学したが、学ぶのは演劇だと入学後に知る。だが、演劇を学ぶ環境に身を置いたことが“けがの功名”となった。「舞台への道に魂を奪われていきました。テレビなんて考えもしない頭の固い若造でした」。20歳で上京、役者としてのキャリアを積んだ。
「真田丸」以降、映像作品への出演が続く。「困ったことに、映像の楽しさを知っちゃったんですよ。舞台は積み重ねて練って完成させたものを見せる場所。映像は瞬発力。『真田丸』の時、感情が乗り移ったみたいな奇跡の瞬間をカメラで収めてくれている素晴らしさを知りました。これは舞台とは全然違う、俳優としての楽しさ」と映像俳優としての醍醐味(だいごみ)をかみしめる。
今後、挑戦してみたい役柄については「外科医の役」と即答。「好きな海外ドラマを見すぎて、ほぼ脳内外科医。医療指導とかいらないと思います(笑い)」。不思議と目で追ってしまう、他にない存在感でこの先も物語を彩っていく。
【望月千草】
◆新納慎也(にいろ・しんや) 1975年(昭50)4月21日、神戸市出身。94年から舞台俳優として活動。07年、三谷幸喜氏の「恐れを知らぬ川上音二郎一座」に出演し、以降も16年「真田丸」など多数の三谷作品に出演。23年には映画「禁じられた遊び」など、活動の幅を広げている。24年2月には舞台「う蝕」への出演が控える。180センチ。