<膵臓がんで余命半年宣告 1年半生きてる映画プロデューサー叶井俊太郎が語る現在、過去、未来>2
末期がんの映画プロデューサー叶井俊太郎氏(56)が対談集「エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論」(CYZO)を出版した。昨年6月に膵臓(すいぞう)がんで余命6カ月を宣告されながら、抗がん剤治療、手術を拒否して仕事を続けてきた。映画「アメリ」の大ヒット、漫画家倉田真由美氏(52)の夫としても知られ、公開中の映画「恐解釈 桃太郎」の宣伝に奔走する叶井氏に“余命から1年後”の現在、過去、未来について聞いてみた。【小谷野俊哉】
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少しずつ痩せ、体力も弱っているが、余命宣告の半年はクリアした。それから1年後の今も、仕事は続けられている。
「この間、病院に行ったら肝臓に転移の疑いがあるって言われたんです。でも治療は全然してないんで、いわゆる抗がん剤的な。だから、それでもっているのかもしれないね。抗がん剤治療するとやっぱり体力が弱るから、かえってこう大変っていうのもあるしね。弱るし、別の病気になるみたいな。肺とかのね。こう抗がん治療をやると本当に体弱っちゃうから」
標準治療は拒否したが、免疫治療はやっている。
「免疫療法的なNKT細胞治療といって、血を抜いて、それを京都大学で培養して戻すみたいなことをやっています。去年やって、今年も、今やってる最中ですねで。あと1週間か2週間に1回、高濃度ビタミン点滴をやってます。自宅でね」
今年8月には入院して手術を受けた。
「1カ月月くらい入院しました。あれは、直接、食道と腸をつないだんで。膵臓の所にあるがんが大きくなっちゃって、胃を圧迫して食事が取れなくなっちゃった。だから、だからがんの治療ではなくて、胃を半分切って、食道と小腸をつなげた手術。それで、やっと食べられるようになりました」
余命宣告された時を1年すぎても、痩せた以外は元気に仕事をこなしている。
「なかなか死なないねえ。でも、あんまり末期がんでステージ4の人のインタビューってないですよね。受けないし、だいたい入院中じゃないですか。入院中でステージ4の人のイメージって、寝て管につながれてっていうイメージですよね。もうやせ細ってね。元気に見えるのは多分、周知しちゃったからですよね。去年の6月に言われた時はステージ3で、今年の春夏でステージ4になりました」
死は誰にでもやって来る。だが来たるべき日に対して、葬式の準備もしていないという。
「何もしてない。くらたま(倉田氏)に任せますから。希望は全然ないですね。だから本当は墓とかいらないと思ってます。逆に、なんか散骨とかね。海に散骨するのもいいなと思ってます」
8日にプロデューサーを務める、早河ルカ(20)主演の映画「恐解釈 桃太郎」が公開された。昔話を血しぶきが飛ぶ、ホラー映画にしたてた。
「もうほぼコメディーに近いですよね。一応ホラーでお願いしたんですけどね。主演の早河さん、頑張ってますよ。鬼に取りつかれる役の長村航希、なんか最近ドラマに出てます。いい感じですね」
今までに600人の女性のお相手をしたと言われるモテ男。
「いやいやいや、それはもう昔の話なんで。もう本当に10代、20代の頃で。600人って言ってるけど、ちゃんと数えてないからそんなにいってないと思いますよ。隠し子とかは全然出てこない。でも、10月初めに末期がんを公表したら、知らない人たちから、100通近くDM来ましたね。まあ、小中高の友達からも、何十年ぶりかに連絡とって、会えたりしました」
(続く)
◆対談集「エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論」(CYZO) 膵臓がんで余命半年を宣告された叶井氏が友人、知人である鈴木敏夫、奥山和由、ロッキン・ジェリービーン、河崎実、岩井志麻子、中瀬ゆかり、中村うさぎら15人の文化人と対談。あとがきは夫人の倉田真由美氏。
◆叶井俊太郎(かない・しゅんたろう)1967年(昭42)9月18日、東京都生まれ。ラジオ局ADなどをへて、91年(平3)に映画配給会社入社。92年香港映画「八仙飯店之人肉饅頭」買い付け。ジャンルはエログロ・変態から恋愛まで幅広い。01年映画「アメリ」が興収16億円の大ヒット。03年ファントム・フィルム設立も05年退社。同年トルネード・フィルムを設立して社長。同社は10年に3億円の負債を抱えて破産申請。プロデューサーとして「いかレスラー」「ヅラ刑事」「日本以外全部沈没」など河崎実監督作品を手がける。09年9月に漫画家倉田真由美氏と4度目の結婚。中2の娘がいる。昨年6月に膵臓がんで余命半年の宣告を受ける。