番組枠を自分で買って制作費負担の「提供ハリウッドザコシショウ」 「車1台分なら出せるから」

ポーズを決めるハリウッドザコシショウ(撮影・たえ見朱実)

お笑い芸人、ハリウッドザコシショウ(49)が自腹で放送枠を買い、制作費も出したテレビ神奈川のバラエティー「提供ハリウッドザコシショウ」が30日深夜1時に放送される。

「R-1ぐらんぷり2016」に優勝してから7年9カ月。その後の芸人生活に苦しむ王者が多い中で、自分の世界を着実に築いてきた。このほど、取材に応じた。【聞き手=小谷野俊哉】

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R-1優勝後、バラエティー番組で力を見せつけた。MC、アシスタント、ひな壇芸人、ガヤ芸人…多くの芸人が絡み合ってグチャグチャになったバラエティーを、ザコシショウはひと言で笑いに変える。

「ありがたいですよね。あれは、ああなった時に振ってくれるMCがいるから。例えば(明石家)さんまさんだったら、その振りに応えられると、その次も振ってくれる。今、バラエティーに出てる芸人なんて、吉本所属以外はみんな、なんかしらの大会で優勝している芸人ばっかり。だから、そこはどうしたって必要なところだと思うんですよ。R-1優勝がなかったら、今の全てがなかったと思ってます」

吉本の養成所、NSCの“花の11期生”。同期はケンドーコバヤシ、陣内智則、中川家、たむらけんじと売れっ子ぞろい。R-1優勝でブレークする前から、同期芸人たちからは「若い頃からおもしろかった。売れてしかるべき」という声が高かった。

「他の同期とか先輩とか、まあ後輩もですけど、そこら辺がね、僕の名前を出してくれていた。R-1で優勝して、営業の仕事もたくさん入って来るようになった。でも、売れてない時に営業に行っても、全然笑わないんですよ。で、売れた時に初めて営業に行ったら、結構簡単に笑うんですよ。だから、そこは如実に体感があった。売れたっていうね。まあね、R-1チャンピオンでおもしろい人だっていうんで、お客さんも笑う準備をして待っててくれるみたいでね」

それでも、過去には芸人を辞めようとしたことがある。

「ありましたよ。売れる前、02年に高校の同級生と組んでたG★MENSっていうコンビを解散した時は、辞めようかなと思いましたね」

「提供ハリウッドザコシショウ」は自分で放送枠を買って、制作費も出資。好きなように番組を作った。

「自分1人で好きなように作る、そんな感じの番組があったらいいなって思っていました。いつ依頼が来てもいいようにと思って、R-1優勝の前からYouTubeをやっていたんです。それで、R-1で優勝はできたけど、そういう番組の依頼は来ない。だったら、どうにかして自分で動いた方がいいなって。いろいろと当たったんすけど、スポンサーが取れないとか、上には掛け合ったけど企画がOKにならないとか、いろんな理由でダメでね。じゃあどうしたらいいか。企画がOKでも、スポンサーが取れないなら、俺がスポンサーをやったらいい、と。試しに言ってみたら、それがいいってなって、自分で金を出すんなら、好きなようにやれるよってなった。枠を買って自分で企画して、ディレクターや技術さんを自分で声かけて雇って、いろいろと詰めるところから始めた」

芸人が不祥事を起こして、謹慎明けのスタジオでどう振る舞うか。それを自身に当てはめてみた。家族も登場させた。

「ネタっぽい企画を集めて、番組を作りたかった。それこそ自分のやりたいことを、好き勝手にというか、自由にやりました。でも、やっぱりコンプラもあるしね。企画案を出した時に、並べてみたんですよ。番組としての内容は55分間。じゃあ、この順番だと、このネタの次にこれはあんまりとか、企画が被るとか、それでこれはやめとこうかとか。そういう感じで、精査されてますね」

出したお金は車1台分。軽自動車なら100万円以下、高級外車なら1000万円以上。

「車1台分というより、大体このぐらい出してもいいなっていうのは300万円ですね。出せない金額ではないけど、なかなかこう難しいところでね。ネタは2分とか、3分の短いのもある。全部、僕主体のネタで、他の芸人さんには、このネタのここに出てほしいなっていう人にオファーしました。めっちゃおもろいですよ。思っていることを、全部撮りました」

今年も、あと1週間足らず。

「去年の秋からTOKYO MXの『パワードバイTV~元気ジャパン~』っていう、僕の司会の番組が始まって、それからテレビが多くなったんですよね。今、4、5番組レギュラーがあります。だから、今年は、いい年でしたね。ただ、それってネタを純粋にやるのと違うわけじゃないですか。まあ、雇われというか、番組の司会として、面白おかしくいじると。今回の番組は自由に自分の思ってた通り“食材選び”からやっている。今年の年末に集大成、30日深夜ですから大みそかにできる。いい年になりました」

来年2月には50歳になる。

「なんか、いろいろ始まりそう。今回、この番組もそうやし、ちょっと始まったものが、もうちょっと発展じゃないですけどね。もっと多くの人に見てもらいたい。オファーが来る仕事をしっかりやりつつ、そういう年にしたいですね。50歳という歳は、考えるとしんどくなるからあんまり考えないようにしています。腰が痛いとかもあるけど、裸芸人だから体がしなびちゃったら、笑えなくなる。そこはね、やっぱり注意して、炭水化物を抜いたり、ウオーキングとかね」

所属するソニー・ミュージックアーティスツ後輩芸人たちを中心とした「ハリウッド軍団」を率いる。バイきんぐ、錦鯉のような売れっ子から、無名の若手までいる。

「若手全部を売れさせてやるじゃないですけどね。ちょっとね、チャンスを与えるみたいなことも、やっていかないといけないなと思っています。だから、自分のYouTubeを撮影する時間が、必要だなと思っています。やっぱり、そこで妥協したくないと。そこのアイデアが、源ですからね」

ブレーク前の11年に結婚した夫人と間に、小学1年生の双子の女の子がいる。

「仕事があるから、なかなか触れ合えないですね。たまに会うとベタベタしてきますよ。子供の生まれた年にR-1に優勝しているんですよ。何かしら、縁を感じますけどね。子供が生まれてなかったら、多分優勝してないんじゃないかな。決勝とかに行くに時には、もう奥さんもおなかが大きなっていて、新幹線みたいな感じでした。子供たちがR-1優勝を運んで来てくれて、そして生まれてくれた」

42歳でR-1王者になり、親になり、売れっ子の40代を過ごした。50代でさらなる高みを目指す。

◆ハリウッドザコシショウ 1974年(昭49)2月13日、静岡県清水市(現静岡市)生まれ。静岡県立清水工高卒。92年に大阪NSCに11期生として入り、93年に静岡茶っぱとお笑いコンビ、G★MENS(ジーメンス)結成。02年からピン芸人に。趣味は音楽鑑賞。11年に一般女性と結婚。14年「あら-1グランプリ2014」優勝。「R-1ぐらんぷり」は05年から12回連続の出場、16年初の決勝進出で優勝。170センチ。血液型A。