<第36回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>
松岡茉優(28)が「愛にイナズマ」で、19年以来2度目の主演女優賞を受賞した。同賞の複数回受賞は吉永小百合の3度、宮沢りえ、綾瀬はるかの2度に続き史上4人目となった。
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初号試写が終わると、松岡は隣から拳を差し出された。父親役の佐藤浩市だった。称賛の証しにほかならない。デビュー目前で夢を奪われた映画監督の主人公を力強く演じた。「映画を見てくれた皆さま1人1人に、お礼を言いたい気持ちです」と柔らかい声で受賞を喜んだ。
「蜜蜂と遠雷」以来の主演女優賞となる「愛にイナズマ」では、アフターコロナを舞台に、社会の理不尽さへの反撃と家族の再生が描かれた。オファーに「わたしで務まるのか」と即決はできなかった。だが、重い現実の中だからこそ生まれた重厚な脚本とキャスト。「今逃したら2度とまわってこない。やらないという選択が出来なかった」。
撮影時もコロナ禍。マスクという口元の“壁”が演出の1つになった。主人公を軽んじるプロデューサーと助監督相手に、押し殺した本音をマスクを下げて伝えるのか、諦めて上げ直すのか。生きものらしさを表すため、呼吸のたびに生地が動くものを使用した。「あの時だからこそ。忘れられない演出」と振り返る。
劇中の家族「折村家」との出会いで、また財産が増えた。初日舞台あいさつ後に行われた食事会後、一家でロケ地のバーまで“聖地巡礼”した。「(長男の)池松壮亮さんが『歩きますか?』と。浩市さんに『30~40分かかるけど行きたいです』って言ったら、苦笑いで『じゃあ歩くか』と言ってくださって。あの影を忘れないし、願わくばまた歩きたいなって思います」と宝物に触れた。
今年で芸歴20年目。「浩市さんに『うまくなるなよ』って言われて。それが今のスローガンです」。そこに込められた意味とは。「いっぱい考えたけど答えは出ていなくて。でも、言ってくれた理由はなんとなくピンときています」。約10秒後、言葉を紡いだ。「何事にも正解なんてないっていうところなのかな。こういうお芝居ができるようになりたいと追求してしまうけど、そこじゃない、うま味、色気があるというところなのかな」。未来を描く瞳が好奇心で輝いた。【望月千草】
◆松岡茉優(まつおか・まゆ)1995年(平7)2月16日、東京生まれ。8歳で芸能界入り。23年「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」で主演。「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞優秀主演女優賞。11月に初の著書「ほんまつ」発売。
◆愛にイナズマ 折村花子(松岡茉優)は、空気を読めないが魅力的な舘正夫(窪田正孝)と運命的に出会う。夢の映画監督デビュー目前にだまされ、企画まで全て奪われながら反撃を決意。父治(佐藤浩市)兄誠一(池松壮亮)と雄二(若葉竜也)のダメ家族が抱える秘密を映画にして世の中を見返すと息巻く。
▼主演女優賞・選考経過 「岸井ゆきのじゃないとできない役」(服部宣之氏)という声や「怪物」「バッド・ランズ」の安藤サクラを推す声と三つどもえ。3度目の投票で決まった松岡には「実力を見せつけた。かき乱していく総合バランスが見事」(伊藤さとり氏)
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昨年「PLAN 75」で主演女優賞を受賞した倍賞千恵子(82) 松岡茉優さん、第36回日刊スポーツ映画大賞の受賞、心からお祝い申し上げます。映画界で才能を発揮され、多くの人々に感動と喜びを届けている姿に、本当に感動しました。これからも素晴らしい芸術の道を歩んでいく松岡さん、心より楽しみにしています。受賞おめでとうございます! これからも、さらなるご活躍を期待しています。