【映画大賞】二階堂ふみ「消化してはいけない作品」…救いは施設で働く父の言葉/受賞トーク

助演女優賞を受賞した二階堂ふみ(撮影・足立雅史)

<第36回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>

二階堂ふみ(29)が「月」(石井裕也監督)で助演女優賞を初受賞した。同作などで助演男優賞を磯村勇斗とそろい踏みとなった。

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二階堂は「月」を2度、見返したという。あまり出演作を見る方ではなく、普段は1度のみ。「消化してはいけない作品だと思っているので」といい「自分が消化しないでいられているかという確認を、どこかでしていたのかもしれないですね」と語った。

2016年に神奈川・相模原市の障がい者施設で起きた事件をモチーフとした辺見庸氏の小説が原作。二階堂は作家を目指す障がい者施設職員役を演じた。「(映画を)作っていいのかなと思いましたね」とオファー当時の心境を語り「事件のことは本当によく覚えていて、衝撃的でしたし、考えさせられるものでした。社会的に風化させることも怖いことなのかなと思いましたし、この映画を作ることで、見たくないものや、ふたをしてしまいがちな社会の問題を、映画というエンタメを通して人の心に投げかけるということはやるべきことなのかなと思って受けさせていただきました」と振り返った。

審査では、ナチュラルかつリアリティーあふれる演技に賛辞が集まった。それでも「なかなか答えの見いだせない、確信を持てるキャラクターではなかった」と明かし、公開した今でも答えを見いだせていないと口にした。これまでに経験した同世代の障がい者との交流や、同様の施設で働く父の姿もヒントになったといい「(父が)『見てよかった。いろいろ考えさせられるものがあった』と言ってくれたので、ひとつ救いはあったかなと思います」。

「月」は4冠を獲得。他映画賞でも共に表彰された助演男優賞の磯村勇斗とは別件で連絡をとっていた流れで受賞の話にもなったといい「(企画・エグゼクティブプロデューサーの)河村(光庸)さんが撮影前にお亡くなりになったり、いろんなことがあった作品なので。純粋に『良かったね』というやりとりをしました」。

主演の宮沢りえへ向けても「常に本音で、うそのない状態で向き合ってくださった」と感謝を語った。「監督と私が現場で向き合い続けることができたのは、中心にりえさんがいてくれたことが大きかった」といい「監督とりえさんに感謝の気持ちでいっぱいです。映画でしか表現できないものもあるんだなということをあらためて実感できた作品でしたし、舞台あいさつが終わって監督、りえさん、磯村くん、オダギリさんとみんなでご飯に行って、いろんなお話をさせていただいたんですけど『あとは見る方にどう感じるかを委ねつつ、私たちはこの問題に向き合っていかないといけないよね』と話しました。この賞は代表して受け取っている気持ちですし、みんなで分かち合っていきたいなと思います」。

反響を見聞きし「映画には何かを変える力がある」と再確認した。「エンタメには娯楽性だったり、時には自分の感情に寄り添ってくれる要素がある一方で、自分たちにたくさんの学びと気づきをくれるものだと思っています。社会を動かす力もあると思っていますし、今後も映画に携わらせて頂いて、多くの方々の身近なものであり続けられるようにしたいです」と力を込めた。

 

◆二階堂(にかいどう)ふみ 1994年(平6)9月21日、沖縄県生まれ。09年「ガマの油」でスクリーンデビュー。直近も映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」が公開中、24年1月期TBSドラマ「Eye Love You」で主演。動物福祉や環境問題活動にも関心があり、現在は犬2匹、猫4匹と暮らす。毎日の半身浴がリフレッシュ法のひとつ。血液型O。

 

◆月 元有名作家の堂島洋子(宮沢りえ)は、夫昌平(オダギリジョー)と二人暮らしする中、重度障害者施設で働き始めた。絵が好きなさとくん(磯村勇斗)作家を目指す陽子(二階堂ふみ)ら同僚と出会うが、他の職員による入所者への暴力を目の当たりにする。

▼助演女優賞・選考経過 「あの嫌みな女のうまさが忘れられない」(神田紅氏)と根強い支持を得た二階堂が獲得。振り切ったコメディーを演じた吉岡里帆を「美人女優と言われるような人がこんな女教師をやるのはめずらしい」(寺脇研氏)と支持する声も。

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昨年「キングダム2 遥かなる大地へ」「異動辞令は音楽隊!」「ある男」で助演女優賞を受賞した清野菜名(29) 二階堂ふみさん、このたびは助演女優賞の授賞、誠におめでとうございます。同世代の役者として、いつも尊敬のまなざしで拝見しております。いつか作品でご一緒できるよう、私自身も精進してまいります。本当におめでとうございます。