<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
作詞家の森雪之丞さん(70)がこのほど、初の自選詩集「感情の配線」を発売した。記念イベントを取材した。
ロック、アニソン、ポップス、ミュージカルなど、これまでに2700曲以上の作詞を手がけている森さん。これまでの作詞リストを見ると、この歌詞も、あの歌詞も、という曲がずらりと並んでいる。「作詞・森雪之丞」とテロップで名前だけは聞いたこと、見たことがあるが、実際にトークを聞くのは初めてだった。
登壇した森さんは代表質問の前に「こんなに多くの方にお集まりいただき、本当にありがとうございます。なかなかこういう機会にお話できることはないと思います。何でも話したいと思います」と話しはじめた。取材する側が貴重な機会ととらえていたが、森さんも同じように感じているようだった。
自選詩集は、30年間で出版した5冊の詩集から厳選して制作された。制作のきっかけは70歳になることだったという。「自分が70歳になるなんて驚いていました。去年、音楽ロックを一緒に作ってきた仲間が天国に行ってしまったことで、気弱になっていた。布袋寅泰に『しゅうかつかなあ』とLINEを打ったら、変換ミスで(終活のつもりが)就活になっていた。もうちょっとやれということで、自分にカツを入れました」と笑った。
作詞活動は48年間、詩人としては30年間活動してきた。自らを小さな詩人と呼び、いままで作った詩を若い世代にも届けたいと、自選詩集の制作を決めたという。詩集について説明してくれる様子がとても丁寧で、誰かに届けたい気持ちをまっすぐに感じた。
森さんは布袋寅泰、hideさん、氷室京介、氷川きよしらの楽曲の作詞、「キン肉マン」「キテレツ大百科」などアニメソングの作詞、ブロードウェーミュージカルの訳詞などを手がけている。
これまでの活動を振り返って、印象に残る作品を聞かれると、森さんは「2700曲の詩を書いたらしいので、1曲1曲言えないんですが」と前置きし、「布袋寅泰と出会って、自分の書きたかったロックの世界を彼に託せた。アイドルポップの70年代、80年代は、チャートでしのぎを削ってきました。そんな時、アニメの世界、アニソンはある意味自由で、僕にとっては水があいました」とし、「ドラゴンボールZ」の主題歌について「『CHA-LA-HEAD-CHA-LA』は、僕だからあんなにとんでもないことを書けたと思う。ゼロになってへっちゃらでいこうよ、というメッセージも入れられた」などと話していた。
2000年代に入ってからはミュージカルにたずさわっている。70代の目標は「体が持つ限り、よりグレードの高いものを作っていきたい。ミュージカルはオリジナルで5本立ち上げた。1本4年かかるので、あと1本かなあと思っています。最後に画期的なミュージカルを作りたい。小さな詩人として新しい詩集も作りたいです」とのことだった。
森さんはどの話もエピソードも、とても謙虚に丁寧に語ってくれた。まだまだたくさんの話を聞きたくなった。【小林千穂】