日テレ社長「痛ましい結果だった」 「セクシー田中さん」漫画家芦原妃名子さんを追悼

日本テレビ

日本テレビは26日、都内の同局で定例会見を行い、石澤顕社長が、1月29日に亡くなった昨年10月期放送の同局系連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作者の漫画家芦原妃名子さんを追悼した。

石澤社長は「痛ましい結果だったと思います。まずは芦原妃名子さんへは哀悼の意を表したいと思います。ご家族の皆さまにも心よりお悔やみを申し上げたいと思います。今回の事態につきましては極めて厳粛に受け止めております。何がどういう形でこのような結果になったのかも含めまして、外部の有識者に入っていただきまして、特別調査チームを発足いたしました。このチームで速やかに調査を進めまして、真摯(しんし)に客観的に検証し、その上で全ての原作者、脚本家、番組制作者の方々、みなさまがよりいっそう安心して制作に臨める体制を構築し、求めていく、それに努めていきたい」とした。

調査内容については「適切なタイミングで公表すべき内容について公表させていただきたい」とした。「あらためて客観的に経緯をもう1度検証して、どこに問題があったのか調査をする必要がある。既に調査チームがヒアリングに入っている次第。やはり原作者があって映像コンテンツがどう扱われるかはさまざまな考えがあろうと承知しています。脚本家の方も、それだけにどう向き合っていくか、多様性があるものだと思います。それを踏まえた上で、経緯を客観的に真摯(しんし)に調査し、教訓になるものを見つけだし、再発防止に生かしていきたい」と語った。

芦原さんの意見とドラマ脚本内容が一致していなかったのではないかという件については「経緯につきましては、社内についてはある程度まとまってはいるんですけど、客観性を持って検証するためには外部の方にお願いして進めていく」とした。ドラマ制作では作品の二次利用についての契約は結んでいるが、制作の詳細についての契約書などは交わしていなかったという。

芦原さんは1月29日に栃木県内で発見され、死亡していることが確認された。50歳だった。捜査関係者によると、自殺とみられている。同26日までにX(旧ツイッター)アカウントを開設しており、「セクシー田中さん」では第9話、第10話の脚本を手がけていたが、その際制作陣側との間に起きた食い違いのような事態について、「私が9話・10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った」などとしてその背景を記すなどしていた。

同Xによると、もともと芦原さんは、ドラマ化にあたって、「必ず漫画に忠実に」と依頼していたという。連載が継続している作品であるため、特にドラマオリジナルの終盤については、「原作者があらすじからセリフまで」用意するという条件を提示してドラマ化に合意したが、いざ制作がスタートすると、原作を大きく改変した内容になっていたという趣旨のことをつづっていた。そして「9話、10話の脚本にご不満をもたれた方もいらっしゃるかと思います。どのような判断がベストだったのか、今も正直正解が分からずにいますが、改めて、心よりおわび申し上げます」などと吐露していた。

一連のポストはネット上で注目を集め、その後、芦原さんは28日までに当該ポストを削除し、「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」などと謝罪。その後、栃木県内に移動したとみられ、29日に遺体となって発見された。

日本テレビはその後、ドラマ公式サイトなどで追悼文を掲載したほか、1月30日には公式サイトに同問題の関係者らへの誹謗(ひぼう)中傷などへの注意喚起文章を掲載。2月15日にはドラマ制作部門から独立した社内特別調査チームの設置を明かし、同26日にチームメンバーとなる弁護士らも発表した。