<解説>
宝塚歌劇団の25歳宙組団員が昨年9月に急死した問題で、親会社阪急阪神ホールディングス(HD)は28日、上級生らによる団員へのハラスメントを認め、遺族側と合意書を締結し謝罪したと発表した。
角和夫HD会長らが同日、遺族に謝罪し、宙組上級生複数も謝罪文を遺族に提出した。遺族側が主張したハラスメントをほぼ認めた形。遺族代理人の川人博弁護士も同日、都内で会見し「明確にパワハラを認め、遺族に謝罪した意義は大きい」と評価した。
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上級生の絶対的な指導は、下級生から見れば時には理不尽もある。各組70人前後が集まり1つの舞台を作る上で、ある意味の統制は不可欠だった。110年の歴史を持つ劇団の伝統が、嶋田社長もこの日繰り返した「組織風土」だった。
歌劇団員を輩出する宝塚音楽学校ではすでに、必要、不必要なルールを上級生、下級生一体となって話し合うなど、改革は進んでいる。劇団でも「女の軍隊」と呼ばれた規律は、時代に応じて多少の変化はあったものの、この日、嶋田社長が「組織風土を時代に合わせて変えてこなかったのは怠慢だった」と引責の思いを口にしたように、時代に取り残された面はあった。
今回、遺族側が指摘したひとつ、新人公演での衣装をめぐるトラブルで、団員の責任ではなくとも、叱責を一身に受けた。7年目までが出演する新人公演最年長「長の期」で、下級生をまとめる立場。当時、宙組には同期が少なく、ただでさえ団員に非難が集中しやすい環境にあった。
劇団がこの日繰り返した「悪意はなくともハラスメント」は、現代では当然の認識だが、「伝統を守る」意識が強く残り、なかなか踏み込めない一線だったことも、和解まで半年を要する要因のひとつになった。【演劇担当=村上久美子】