越山敬達、カンヌ映画祭公式上映で涙「こういう舞台にまた立ちたい」 主演作「ぼくのお日さま」

カンヌ映画祭ある視点部門に出品された映画「ぼくのお日さま」公式上映が行われた、ドビュッシー劇場の入り口前に立つ、左からハンバートハンバート佐藤良成、奥山大史監督、中西希亜良、EBiDAN NEXT越山敬達、池松壮亮(C)Kazuko Wakayama

世界3大映画祭の1つ、第77回カンヌ映画祭ある視点部門に出品された、EBiDANの研究生「EBiDAN NEXT」越山敬達(15)の主演映画「ぼくのお日さま」(奥山大史監督、9月公開)の公式上映が19日(日本時間20日)、フランスで行われた。

本編が終わり、主題歌「ぼくのお日さま」のエンドロールが流れると、越山は涙が止まらなくなった。エンドロールが終わり、拍手喝采と「ブラボー」という声援とともにに、スタンディングオベーションが約8分間続くと、最初に涙したのも越山で、中西希亜良(12)も涙をみせた。

越山は、涙の理由を聞かれ「撮影中『こういうこと言われたな』とか、『こういうふうに撮影したな』とか、エンドロールに流れる本作の主題歌を聴きながら思い出した」と、明かした。

そして「台本を渡してもらえなくて、物語が分からないまま撮影がスタートしたが、初めての主演映画だったので、どれだけ自分の自然の形で撮影を楽しめるか、ということに重点をおいてやっていました」と撮影を振り返った。

初の海外旅行が、カンヌ映画祭という映画界の世界最高峰の舞台となった。同映画祭では、所属事務所スターダストプロモーションの先輩・柳楽優弥(34)が、04年に同映画祭コンペティション部門に出品された主演映画「誰も知らない」(是枝裕和監督)で、史上最年少の14歳で男優賞を受賞した。

部門は違えど、同じ舞台に立った越山は「また、こういう舞台に立たせていただきたい」と意気込んだ。一方で「先日、人生初の生牡蠣(かき)をカンヌで食べて、とても美味(おい)しかったので、またカンヌに食べに来たい!」と、15歳らしい一面も見せ、周囲の笑いを誘った。

「ぼくのお日さま」は、雪の降る街を舞台に、吃音(きつおん)をもつホッケー少年のタクヤと、フュギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川の3人の視点で描かれる。雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋の物語を描き、28歳の奥山大史監督が撮影、脚本、編集も手がけた。タクヤを越山、さくらを中西、元フィギュアスケート選手のコーチ・荒川を池松壮亮(33)荒川の恋人・五十嵐を若葉竜也(34)が演じた。

今年のカンヌ映画祭では、映画祭のオフィシャルセレクション部門の中で、日本作品として唯一の出品となった。奥山監督は「温かい反応をいただけて、まずは安心しています。うれしかったというよりも、一安心という気持ちが大きいですね」と感想を口にした。

企画段階から奥山監督を支えた池松は「自分でカメラを持って撮影される方なので、奥山さんの視点が、自分たち俳優にちゃんとフォーカスが合っている。目と耳が素晴らしくいいと思います。本人も映画もスケールが大きい。映画をもってどんどん世界と対峙(たいじ)してくれると思います」と絶賛した。英語もフランス語も堪能で滑らかなフランス語であいさつした中西は「すべてが幸せなので、またこういうすごい場所に来れたらな、と思います」と、照れながらも再び、カンヌ映画祭に参加することに意欲を見せた。

◆カンヌ映画祭ある視点部門 革新的で独自な視点の作品を集めた部門で、1978年からスタート。黒沢清監督(68)が、08年に「トウキョウソナタ」で審査員賞、15年「岸辺の旅」で日本人で初の監督賞を受賞。近年では、新しい映画監督を国際的な舞台へと輩出する部門として注目され、今年は、2000本以上の作品の中から選ばれた。