アイナ・ジ・エンド、BiSHでの日々「一生もの」メンバーの存在に支えられた「キリエのうた」

変幻自在に表情を変えるアイナ・ジ・エンド(2024年7月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

このほど、ソロアーティストのアイナ・ジ・エンドを取材する機会に恵まれた。天性のハスキーボイスと表現力を持つ歌姫。迫力のパフォーマンス姿とギャップのある、柔らかな物腰とチャーミングな笑顔が印象的だった。

プライベートなどで挑戦してみたいことを聞くと、前のめりに「めっちゃありますね!」とにっこり。「ピコレーザー(シミなど除去する治療)とかやってみたいです。歯の矯正と髪質改善も。美意識高く生きてたら歌の語尾もきれいに歌えそう、ふふっ。あと、マリカーのドリフトでめちゃくちゃインを狙えるようになりたい!」。意外な回答に、記者も自然と笑顔になった。

アイナは4歳からダンスに打ち込んだ。ダンス仲間からの言葉がきっかけで、高校卒業後に歌手を目指して上京。「30万円払えばCDを出してあげる」という話にだまされるなど、金欠に悩みながらも必死で夢を追った。

転機はTwitter(現X)で見つけた「BiSH」のオーディションだった。ダメ元で受けるも合格し、15年にBiSHのメンバーとなった。翌年メジャーデビューし「楽器を持たないパンクバンド」をコンセプトに活動。人気バラエティー「アメトーーク!」(テレビ朝日系)で「BiSHドハマり芸人」といった企画が放送されるなど、熱のこもった個性あふれるパフォーマンスで人気を博した。

グループは23年6月の東京ドーム公演をもって、惜しまれつつ解散。以降、アイナはソロとして活動している。「BiSH」での8年間で一番印象的だったことを聞くと、考えこみながら「8年の月日がすごく大事でした」と話した。

「10代後半から大学も行ってなくて、友だちもいない中でグループに入って。青春を全部つぎ込んだ感じ。そこで教えてもらったこととか、芽生えた感情って一生ものだと思います」。頬を緩ませ「だから、選べないですね」と話した。

自身初の主演映画「キリエのうた」(岩井俊二監督)の製作時はBiSHの解散前で、ツアーなどのライブ活動と並行して劇中歌6曲を書き下ろした。「当時は毎日微熱があって、帰ってきたらゲロ吐くみたいな。ようやってたな(笑い)」と、過酷な日々も笑い混じりに語った。

BiSHのメンバーの存在も支えになった。「『クマやば!』みたいな、やばい状況をメンバーに笑ってもらえると落ち着きましたね。深刻そうに『大丈夫?』って言われると『心配させてる、やばい』とか思うけど、笑われると安心する。それで何とかやれてました」と笑顔を見せた。アイナは同作での熱演が評価され、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞した。

アイナの言葉には、彼女の優しさや繊細な感性が現れている。過去を振り返り「BiSHに入る前は、誰かに届いてくれ、誰か拾ってくれ、頼む! みたいな気持ちしかなかったんです。おこがましいかもしれないけど、誰かがアイナの歌で心地よい眠りにつければいいなって、そういう風に思えるようになりました」とほほ笑んだ。

インタビュー後の写真撮影では、コロコロと変わる表情にセンスあふれるポージングを披露。カメラマンとの息もぴったりで、先ほどまでの穏やかな話し姿とはまた違う、鮮烈な存在感に圧倒された。

終了後、アイナは「めっちゃ楽しかった~! ありがとうございました!」と伝え、笑顔で去っていった。記者とカメラマンは顔を見合わせ「きれいだった~」と声を漏らした。外見はもちろん、内側からあふれる真っすぐな純粋さ、優しさに心つかまれ、思わず出た言葉だった。【玉利朱音】