仲代達矢の「第2の故郷」能登での舞台上演は25年5月に延期も、再会願う強い気持ち

22年5月、能登演劇堂で「いのちぼうにふろう物語」の会見を行った仲代達矢

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

仲代達矢(91)主演で、石川県七尾市の能登演劇堂で10月から上演予定だった舞台「肝っ玉おっ母と子供たち」が、25年5月30日~6月22日に延期されることが決まった。

昨年12月25日に同劇場で、仲代が記者発表を行ったが、約1週間後の1月1日に能登半島地震が発生した。建物や舞台設備に被害を受け休館した。現在、事務所は開いたものの、ホールが使えない状況だという。

仲代は能登に深い縁がある。仲代が妻で劇作家、演出家で妻宮崎恭子(ペンネーム隆巴=りゅう・ともえ)さんらと旅行で訪れた中島町(現在の七尾市)を気に入った。85年から主宰する無名塾が毎年合宿を行うようになり、地域の人とのつながりができた。

95年、仲代と宮崎さんが監修した能登演劇堂が開場した。地元の高校で演劇のワークショップを行う活動も行い、地域に演劇を根付かせた。宮崎さんは96年に亡くなってしまうが、亡くなる1カ月前に書き上げた「いのちぼうにふろう」は同演劇堂で追悼公演として上演された。同作は22年の仲代の役者生活70周年の締めくくりを飾る公演としても、同演劇堂で上演された。

仲代は常々、「東京生まれ東京育ちなので故郷というものがない。能登は第2の故郷です」と話しているように、毎年のように能登で公演を行っている。「マクベス」などのロングラン公演、全国巡演の皮切りとなる公演も行ってきた。本当に能登を大事にしている。今回、延期になった「肝っ玉-」は能登限定公演だ。

1月に能登半島地震が起き、仲代が受けたショックは大きなものだったようだ。「私も無名塾も一丸となって、大切な能登のためにできるだけの事をして行くつもりでおります。この状況下に並べる言葉が思い付きませんが、とにかく生きて欲しい。お互い元気で、皆さまと再会したいなぁと祈るばかりです」とのコメントからは、地域やこれまで出会った人々を強く思う気持ちを感じた。

かつて仲代は「待つことは役者の宿命」と話したこともあった。能登を思い、縁ある人たちとの再会を願い、焦ることなく、気力をたくわえて再び舞台に立つだろうと思っている。【小林千穂】