熱海五郎一座「黄昏のリストランテ」コメディエンヌ羽田美智子に“父”伊東四朗のDNA感じた

取材会に臨む、前列左から羽田美智子、三宅裕司、後列左からラサール石井、春風亭昇太、東貴博(撮影・河田真司)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

東京・新橋演舞場で2日、「熱海五郎一座 黄昏のリストランテ~復讐はラストオーダーのあとで~」の初日公演を見てきた。

座長の三宅裕司(74)が率いる一座の新橋演舞場公演も今年で11回目。渡辺正行(69)ラサール石井(69)小倉久寛(70)春風亭昇太(65)東貴博(55)という、おなじみのメンバーに毎年、いろいろな女優がヒロインとして参加して華を添える。

今年は「食」をテーマに、ミシュラン三つ星を狙うイタリア料理店が舞台。ゲストヒロインは、ともに初出演の羽田美智子(56)と剛力彩芽(32)だ。恒例の東の前説で笑わせて幕開け。ダブルヒロインということもあって、いつもよりパワフルな笑いを展開してくれた。

剛力は昨年の明治座「メイジ・ザ・キャッツアイ」、そして今年3月の博品館劇場「~女子大小路の名探偵新章~舞台『死は、ど真ん中に転げ落ちて』」と舞台で女優として乗りに乗っている。三宅率いる劇団スーパーエキセントリックシアターのメンバーと伍(ご)して、キレキレのダンスを披露。その身体能力の高さでも、観客を驚かせた。

なによりもびっくりしたのが、羽田のコメディアンヌぶりだ。羽田のことは1991年(平3)のNHK連続テレビ小説「君の名は」から取材しているが、ドラマ、映画をメインに活躍している印象で舞台のイメージはあまりなかった。

座長の三宅は、羽田のキャスティングについて、満を持してだと明かした。「熱海五郎一座」の前身で、その名前の由来にもなった伊東四朗(87)と羽田が、03年から24年(令6)まで20年以上にわたってダブル主演したテレビ朝日系2時間ドラマ「おかしな刑事」シリーズ。羽田は伊東と父娘の刑事を演じていたのだが、三宅がゲスト出演して共演した時から羽田の「熱海五郎一座」ヒロインを思い描いていたという。

役どころは天然なイタリア料理のシェフなのだが、思った以上のコメディエンヌぶりで爆笑に次ぐ、爆笑だった。冒頭では女子高生姿まで見せてくれた。

上演後に顔を合わせた白石千江男プロデューサーに「羽田さんのことは30年以上前から見てるけど、まさかこんなに面白いとは」と話すと、大きくうなずいてくれた。今回は出演していないのだが、羽田から“父”伊東四朗の笑いのDNAを感じた。

そして、39年前の1986年(昭61)に初めてちゃんとインタビューした芸能人であるリーダー、渡辺がすごく元気だったのがうれしかった。関東のお笑いの登竜門と言われる「ラ・ママ新人コント大会」を長年主宰してきたリーダーも来年1月には古希、70歳を迎える。

最近は“大御所だけど”といじられることが多かったが、今回はダイナミックな芝居を披露。初日は階段につまずいて尻もちをついてしまうシーンもあったが、それもまたより大きな笑いに変えた。最後はお約束のコーラのイッキ飲みも披露して、変わらぬポテンシャルを見せつけた。

笑いの年輪の上にさらに積み重なった笑い、そして新たなヒロインとの化学反応。初日だけではもったいないと、正直思わされた。【小谷野俊哉】