4年前、定年を前に救われた インタビュー録音&文字起こしの機械の進歩で記者生命が延びた

トーキングブルースへの意気込みを語る古舘伊知郎(撮影・中島郁夫)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

俳優渡辺哲さん(75)のネット連載が、7日の12回目で最終回を迎える。3日から始まった古舘伊知郎さん(70)のネット連載は9回をめどに始めたのだが、中身が濃くて10回を突破することは確実だ。

いずれも、1時間じっくりとインタビューさせてもらった。掲載は渡辺さんは7月17日付の芸能面、本文は60行だった。古舘さんは7月6日付芸能インタビュー面「日曜日のヒーロー」で、本文は200行だった。

レイアウトされて刷り上がった新聞紙面をチェック。以前だったら、そこで仕事は終わりだった。ところが、今はそうはいかない。ともに2000行に及ぶ、起こされた原稿が残っているのだ。

若い時だったら、インタビューしながら、メモ取りもサラサラと。それを見ながら、原稿もあっという間に仕上げられた。ところが年を取るとそうはいかない。録音機器が発達したのはいいが“文字起こし”が進まない。1時間話を聞けば最低でも正味5時間、実際は10時間近く時間がかかる。

文字起こしがあまりにつらく、お金を出して、アプリを探したりもしたが、やはり手間がかかる。テレビ局などは長時間の会見になると、人手をかけて文字起こしをしていた。

こんなにつらいのだったら、定年を機に仕事を辞めてしまおうかと思っていた4年前。定年2カ月前に、同業者から録音と同時に文字起こしができる機械を紹介された。わらにもすがる思いで買い求めたのだが、うまく使いこなせない。説明書もなく、ネット上で取り扱い方を勉強してもうまくいかない。

煩悶(はんもん)すること1カ月。2021年7月に古舘さんが「MC論」という本を出版することになり、囲み会見をした。その機械を勧めてくれた同業者も同席して、使い方を教えてくれた。古舘さんは1時間半、しゃべりまくり。そして、なんと滑舌よく2000行もの、ほぼ正確な文字起こしされた原稿がパソコンに送られてきた。

紙面は40行でしっかり、2番手で扱った。さて、残った2000行はどうしよう。捨てるのはあまりにももったいないので、部長に相談してネット連載することにしたら、100行前後の原稿が17回にもなった。

それからは文字起こしの機械を置いて、身ぶり手ぶりでインタビュー。もともと人に会って話を聞くのが好きだから記者をやっているわけで、仕事がさらに楽しくなった。

定年を前に、機械の進歩に救われた。今回のインタビューで「4年前に古舘さんの滑舌のいい2000行で記者生命が延びました」と古舘さんに伝えると、驚いていた。

明日は33年前から付き合いのある芸人のインタビュー。懐かしい話から現在のことまでタップリと話を聞いて、録音&テープ起こしで紙面、そしてネットで原稿を書いていこうと思っている。【小谷野俊哉】