<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
A.B.CーZ戸塚祥太(38)の主演舞台「アーモンド」が30日、東京・シアタートラムで幕を開ける。
人よりへんとう体(アーモンド)が小さく、怒りや恐怖をうまく感じることができない少年の役。そんな感情のない主人公を全身の動きで表現する異色の作品で、アイドルらしからぬ「異端のキャラ」を自認する戸塚にとっては「これがやりたかった」という待望の舞台だ。
先日のインタビューでは、自身の「こじらせ」の原点を明かしてくれて、興味深かった。
端正な顔立ちから「正統派」とも言われ、14年のつかこうへい作「出発」以来17回の舞台主演を積み重ねた「演技派」でもある戸塚だが、一方でバンダナ、丸メガネで音楽番組に出演するなど「奇行」でも知られている。
「自分のやりたいことと(アイドルとしての)現実の立ち位置にはずっと距離がある気がしています。僕にとっては当たり前でも、第三者から見れば『異端』『変』なんだと思います。今回の舞台の動きはコンテンポラリーダンスで、それはアイドルと呼ばれる僕らの踊りには混ざりづらいものだけど、僕がずっとやりたかったものなんですね」
今回の舞台への思いを語る。それが戸塚らしい魅力にもなっているのだが、自身周囲とのズレを実感しているという。
「原点は中学1年の時ですね。KinKi Kids(DOMOTO)のバックで「ミュージックステーション」に出た翌日、初恋の女の子から『戸塚、昨日テレビ出てたでしょ』とせっかく話しかけてもらったのに、なぜか無視しちゃった。あのときのこじらせた感覚がいまだにほどけていません。あれから中学時代はずっと孤立していて…ある日の休み時間に廊下に消しゴムが落ちていたんで、1人で蹴って遊んでいたら、それがたまたま学年を統括していたバレー部キャプテンの女子の消しゴムだったんですよ。それを見ていた誰かが『戸塚があなたの消しゴムを蹴って遊んでましたよ』と。その日から『戸塚全無視』というかん口令が全学年にしかれ、誰からも接触がないまま、孤独な中学生活を送ったんです。だからギターとか本とか、ブルーハーツが救いになった。所属している会社(旧ジャニーズ事務所)では、なかなか扱わない分野が僕の救いであり、どんどんそっちの方に興味が広がっていったんですね」
さらにはさ細なことが気になるナイーヴな一面もある。
「振り返れば失敗だらけですよ。例えば(14年前の)『ABC座』という舞台の千秋楽で僕と菊池風磨くんのシーンがあったときに、風磨の出トチリがあって、彼のアドリブと僕も対応して何てこともなく乗り越えたんですけど、その当時の僕は千秋楽だけにしっかりと納めたかったという頭の固さがあって、風磨くんを叱っちゃったんですね。何事も肯定していこう、と思っているはずの自分がなぜあんな風に叱っちゃったんだろう、と。あの時に戻れたら『最高だった!』と言いたいのにって」
きっと菊池は何とも思っていないだろうに。そんなデリケート過ぎる思いが独特なキャラクターを形作っているのだと改めて思った。【相原斎】