<悼む>
伏せた右目とにらむように見開いた左目。「太陽にほえろ!」の落としの山さんには説得力があった。
30代半ばまでは「赤い殺意」(64年)の強盗犯など、むしろギラギラした役の方が多かった。ニヒルな山さんに迫力を感じたのは、そんな「熱」を秘めた重層的な役作りがあったからだと思う。先輩にも平気で手を上げた若き日の松田優作さんが、石原裕次郎さんと露口さんの2人に限って一歩下がって接していたと聞いたことがある。
「太陽-」に限らず、役作りはいつも深みを目指した。スタジオジブリの「耳をすませば」でバロンの声を引き受けた時は「ネコの声とは…」と自ら録り直しを申し出て、他の出演者の倍の時間をかけた。
女性にはもてた。俳優座養成所時代には女子生徒たちが露口さんに夢中だったことを同期の田中邦衛さんが明かしている。今村昌平監督のドキュメンタリー「人間蒸発」(67年)のリポーターを務めた時は、蒸発した男性の妻が実際に露口さんに思いを寄せる様子が映像に記録された。
渋く重厚な演技は、たゆまぬ努力だけでなく、そんな人間的魅力に支えられていたのだと思う。【相原斎】