広瀬すず(27)が12日(日本時間13日)カナダで開催中の第50回トロント映画祭に、松下洸平(38)と参加した。主演の日英合作映画「遠い山なみの光」(石川慶監督)がスペシャル・プレゼンテーション部門へ出品されており、2人は上映前舞台あいさつでは英語であいさつし、上映後のQAにも参加し、観客からの質問に答えた。
2人は、作品がある視点部門に出品された5月のカンヌ映画祭にも参加しているが、ともにトロントへの訪問は初めてだった。広瀬は「初めてトロントに来て、すごく人の温かさとすっと受け止めてくださるような人柄や、劇場に入って、真っすぐ私たちのことを見て質問してくださる姿、映画を観終わったあとの表情を見て、ちょっとゾクゾクしたというか」と印象を語った。「Q&Aも、なかなか鋭いものもあれば、皆さんから見た日本のイメージというか、そういったものがある意味すごくストレートに伝わったのかなと思うような質問があったりして、すごくうれしかったですね」と振り返った。
松下は「僕も初めてトロントに来たんですが、まず気候がすごく過ごしやすくて、暑すぎず寒すぎずっていうベストなタイミングで来させていただけたんだなあと思いました」と、トロントの気候から気に入った様子だった。「実際に上映が終わってQ&Aでも、映画や芸術というものにすごく関心がある方がたくさんいらっしゃるんだなあ思ってとすごく刺激になりましたし、すごく難しい質問にも英語でお答えになっている石川監督がめちゃめちゃかっこよかったです」と、石川慶監督(48)の堪能な英語力に感服した。
「遠い山なみの光」は、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏(70)の、1982年(昭57)の長編デビュー作の映画化作品で、同氏が生まれた50年代の長崎と80年代の英国が舞台。広瀬が演じた主人公の悦子は、長崎在住時代に原爆を経験し戦後、英国に渡る。英国に渡って以降の、80年代の悦子は吉田羊が演じる。悦子は英国人の夫との間に生まれた娘ニキが、大学を中退し作家を目指そうと執筆のために自宅を訪れ、数日を共にする中で、最近よく見る長崎で暮らしていた頃に知り合った、二階堂ふみ(30)が演じた謎多き女性・佐知子と幼い娘の夢について語り始める。松下は悦子の夫で傷痍(しょうい)軍人の二郎を演じた。
Q&Aで印象的だった質問について、石川監督は「原爆については、すごく聞かれたなあと」と口にした。。「すごく知りたいという感じの前のめりな質問もいただいて、逆にこっちはどう答えよう? と思ってしまう感じの質問もあったんですけど、それは知ってもらえるきっかけになったのかなあというのはすごく思います」と続けた。
広瀬は「きっと我々日本人と、異国の方とのお芝居の感性とか感覚っていうものが、生活している中での価値観でもすごくギャップがある中で、役への向き合い方であったりとか、そういった質問がすごく新鮮で、逆にすごく素直に答えて『どんなふうに伝わるのかな?』ってちょっとドキドキしましたね」と続いた。松下は「普段、日本で質問を受けている時と違って、聞き手の皆さんが外国の方だったりするので、日本人としての立場の意見『我々はこう思っている』とか『我々はこういう思いでこの作品を作った』っていう回答の仕方ってあまり日本ではしない答え方だったりするので、そこはすごく新鮮だなあと思いました」と語った。
さらに「そんな質問あるの?」など、意外だったり印象に残っている質問は? と聞かれると、石川か監督は「自分は『(原爆を落とされたことによる)アメリカ人と日本人の関係はどうなんだ?』って『それ、俺に聞く?』っていう。それが一番大きかったかなあ」と率直な思いを吐露。
広瀬は「同じくです」と同意し「これは監督が答えてくれるかなあって。すごく難しい質問でしたけど、(Qお客さんとの距離が)近いからそういう視野があるというか」と口にした。松下も「僕もそうですね」と同意した。
石川監督は「(原爆の)被害者としてどう思っているか? っていうことを多分、聞かれたんだろうなあと思うんですけど、その辺って普段、自分たちはあまり(深く)考えられていないじゃないですか。100%被害者だけってわけでもないから、いろいろ考えてしまいましたね」と語った。