還暦を超えたばかりのタイミングでロバート・レッドフォードさんにインタビューする機会があった。カジュアルなシャツとコットンパンツ、足もとは手入れの行き届いたウエスタンブーツ。取材場所となった都内のホテルにさっそうと現れた。主演作「明日に向って撃て!」からそのまま飛び出してきたような若々しいスタイルだったが、顔には深いしわが刻まれていた。
失礼を承知の上で、日本では「還暦」と呼ばれる年齢だと水を向けると「カンレキ? ちょっと待って、つづりは?」と言ってメモ帳を手にした。人生の節目であり、再スタートの意味もあると教えると「素晴らしい言葉だね。私もスローダウンは一切考えていない。生きている限り成長し続けて仕事を続けるよ」。
「レッドフォードの再来」と呼ばれた時期もあったブラッド・ピットが別の取材で「内面の演技も見てほしい」と愚痴っていたと伝えると、自分も若い頃はルックス先行の人気に戸惑っていたと明かした。「私なりの解決法は自分で、どんどん映画を作ることだった。彼に言いたいのは、嘆いても何も変わらない。こういうこともできるんだと、自分の仕事で周囲に証明するしかないんだ」。レッドフォードさんは監督作でアカデミー賞を受賞。「カンレキ」を過ぎても意欲は衰えず、80歳を超えても映画を作り続けた。ちなみにピットものちに、背中を追いかけるようにプロデューサー業に進出、手がけた作品でアカデミー賞も受賞している。【松田秀彦】