NHK山名啓雄メディア総局長が17日、都内の同局で行われた定例会見に出席し、8月16、17日にNHKスペシャルとして放送した戦後80年関連ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」について、題材となった総力戦研究所の初代所長、飯村穣中将の孫で、元駐フランス大使の飯村豊氏(78)が「事実と反する部分があった」とし、BPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立ても検討しているとした件について言及した。
飯村氏はドラマ内容について「祖父の人格を毀損(きそん)するような描き方をしている」と語ったほか、史実の伝え方について「歪曲(わいきょく)、捏造(ねつぞう)して伝えている。今、日本が最も必要としていることは歴史をしっかりと伝えて若い方々の思考のベースとすること。そこの最初のとっかかりで、公共放送であるNHKがこうした間違った伝え方をするのは全く遺憾であります」と主張していた。
山名メディア総局長は実在の人物とドラマ内の人物の名前などを変えてフィクションとして描くやり方は「これまでもあった」とし「遺族の方には放送前も放送後も誠意持って対応しており、引き続き誠意を持って対応していきたいと思います」。飯村氏が会見を行ってまで意見を主張した件については「なぜそうしたことが起きたのか、(スタッフが)事前説明をしっかりしてきたのか。そういうことは把握していきたい」と語った。
あくまでドラマ内では飯村氏の祖父、飯村穣中将に着想を得たもので、フィクションであることも明示していた。ドラマのメガホンをとった石井裕也監督のコメントも読み上げられ、描いたキャラクターはノンフィクションの残された資料などから創作したものであるとし「当時の状況や生きることへの葛藤を伝えること」などを目的としていたと説明。「表現の理由と正当性はしかるべきタイミングでお話しすることになると思います」と締めた。
また、飯村氏がスタッフから聞いたとしていたドラマの映画化について、NHK側は「現時点ではお答えできません」とした。