King Gnu井口理、取材の24時間後の電撃結婚に仰天させられた今、ちょっと聞いてみたいこと

King Gnuの井口理(23年2月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

King Gnu井口理(31)が、17日午後8時にSNSで結婚を電撃発表したことには驚かされた。発表から24時間前の16日夜に都内で行われた、井口のメジャーデビュー後初舞台&主演作「キャッシュ・オン・デリバリー」(12月5日~同21日まで東京・THEATER MILANO-Za、26年1月8日~同12日までクールジャパンパーク大阪 WWホール)製作発表記者会見を取材していたからである。

「キャッシュ・オン・デリバリー」は、英国の劇作家マイケル・クーニーの戯曲。2年前に電力公社を解雇されて以来、架空の間借り人を何人もでっちあげ、社会保障手当を不正受給して生計を立てていたエリック・スワンが、ウソを重ねる姿を描いたコメディーだ。井口は、演じるエリックについて「2年前に務めていた会社をクビになって、それがきっかけで社会保険を不正受給…そこからウソが始まる。とにかく場を回す、誰かと誰かを話し、ウソをつくし、という役」と説明した。

その上で「普段、ウソをつかないので…」と口にすると、集まった取材陣の間から笑いが起きた。すると、井口は、すぐに「また、変な空気。頑張ろうと思う」と言い、笑った。その場の空気を受けて笑ったに過ぎないだろうが、それから丸1日後に我々、芸能メディアを驚かせた、井口の笑みが脳裏に何度も浮かんでしまい、何を思って笑っていたのだろう…などと、ついつい、考えてしまった。

映画を専門に取材してきたが、King Gnuとして音楽シーンを突き進む一方で、芝居も含め活動が多岐にわたる井口の取材機会は、これまでも幾度かあった。きっかけは、取材を通じてお付き合いを重ねてきた行定勲監督(57)がプロデュースした23年の映画「ひとりぼっちじゃない」(伊藤ちひろ監督)に、井口が映画初主演を飾ったことだった。同作が、前年22年の東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門に出品された際、井口は舞台あいさつの壇上で「撮影前も撮影中も、こういう場に立つ日が来るとは思っていなかったので、高まっています」と穏やかな笑みを浮かべつつ、あいさつ。司会から「ライブとは違ってお客さんの顔が良く見えますよね?」と投げかけられると「今、メガネをしていないんです。お客さんの、ぼんやりとうれしそうな顔が伝わってきます」と言い、笑った。

23日に興行収入(興収)150億円を突破した「国宝」(李相日監督)でも、井口は劇中音楽を手がけた原摩利彦(41)とともに主題歌「Luminance」原摩利彦feat.井口理として参加している。7月25日に都内で行われた特大ヒット記念舞台あいさつにサプライズで駆けつけると、壇上で同曲を歌った感想を聞かれた。「面白かった。普段、バンドとして歌ものとして歌っているところがあった。原さんのは、ミニマルでそぎ落とされた神聖な感じだった」と語った。

李相日監督(51)からは、主題歌と曲、音楽が入って完成した本編を見た感想を聞かれた。井口は「ラッシュで見た時、原さんの音楽が入っていなかった。邪魔なく入れたんだという…完成で初めて聴いて、やって良かったなと。原さんとの化学反応は。すごく感じた」と振り返った。

井口を取材するたびに、考えていることを自分の言葉で率直に、かつ丁寧に語っていると感じてきた。「キャッシュ・オン・デリバリー」の製作発表記者会見は、主演だけにいつも以上に話す機会が多かったが、どの質問にも穏やかな笑みをたたえ、誠実に答えていた。同作は、井口が東京芸大の学生だった約10年前に、日大芸術学部の学生で今作で演出家デビューする小貫流星氏と一緒に上演した演目。10年前は同氏が主演と演出を兼任し、井口はエリックに巻き込まれてウソを重ねるバディの関係となる2階の間借り人ノーマン・バセットを演じた。今回はノーマンを、初共演の矢本悠馬(35)が演じる。

初舞台&主演に至った経緯について聞かれた際も、井口は10年前を懐かしむように、1つ、1つ、言葉をかみしめるように振り返った。「小貫君から2年くらい前に『一緒に舞台をやらないか』と提案されたのかな? あまり覚えていなくて」と笑った。小貫氏から「食事に行く機会があって『理って舞台、やらないの?』と言ったから『やってみたいっすけどね』という言葉から、始まったんじゃないかな」と説明が入ると「昔やった作品を、もう1回、やってみたいという、そんな感じみたい。あまり、覚えていないですけど」と笑った。

その上で「僕が最初に演劇というジャンルに踏み込んだ、きっかけが小貫君。教えてくれたことが、たくさんあったし、その恩返しみたいなところが大きいかな。また、一緒にやれたら面白いかな、という気持ち」と、小貫氏への義理、感謝もオファーを受けた理由だと口にした。同氏から「当時から輝くスター性みたいなのが、あったからかも知れない」と言われると「悪意ですか? 本当ですか?」と笑った。さらに「お芝居やったことないんだけど、一緒にやってみたいなと思って声をかけた。ちゃんと、せりふを覚えられるかな? というのは冗談で、お互い、やってきたことも違うので、魅力を詰められるかなと」と同氏から追加で説明が入ると、笑みを浮かべた。

共演陣からは、トップアーティストである井口に対し、共演を期待する声も相次いだが「緊張しぃです、僕」と口にしたように、会見では最後まで穏やかで、とがった姿勢などかけらもなかった。俳優業に、より注力する可能性を聞かれても「基盤、根本は音楽だと思っているので」と即答。「どちらも好きなんで。毎回、ビビリながらやってるんですけど…音楽も、お芝居も。始まったら楽しいのは分かっているので、楽しくやりたい」と答えた。音楽と芝居、どちらが緊張するか? と聞かれると「お芝居ですね。やっぱり、長く歌っているので…」とも語った。

そうした姿勢は、結婚を発表した際のコメントにも通底しているように感じる。

「私事ではございますが、この度かねてよりお付き合いさせて頂いている方と入籍致しましたことをご報告させていただきます。今後は今まで以上に気を引き締めて、King Gnuの音楽やそれを聞いてくださる皆様への感謝を忘れず、より一層自分の活動と向き合っていきたいと思います。なお、お相手の方は一般の方ですので温かく見守って頂ければ幸いです」

次、どこで取材の機会があるか…直接、話ができるかも分からないが、あえて聞いてみたいことがある。

「『キャッシュ・オン・デリバリー』の会見で、多くのメディアの前に立って語る中で『24時間後、結婚を発表したら、芸能メディアの人、驚くかな』と思った瞬間がありましたか?」

聞いた瞬間「そんなこと、思ってもいなかったですよ」と笑われてしまうかも知れないけれど…それでも聞いてみたくなるほど、井口の笑顔からは温かいものを感じている。【村上幸将】