テイチクから9月24日発売の「北国最終便」でデビューした新人演歌歌手、亜蘭(26)のデビュー記念発表会を取材した。
亜蘭は北海道苫小牧市出身。歌手でもある祖母の影響で、幼少期から演歌・歌謡曲に親しんだ。高校を卒業すると上京。18年から作曲家の大谷明裕氏(71)に師事した。
生歌を初めて聴いたのは約2カ月前。「テイチクレコード2025新人コンベンション」だった。そこで大谷氏は「最近いない低音が魅力的だから」とアピールした。
だがこの日、私おじさん記者は正直言うと、大谷氏がいう“低音が魅力”に、あまりピンときていなかったのだ。“低音が魅力”という言葉から勝手にフランク永井さんのような声を想像してしまい、「言うほど低音ではないような…」と思ってしまったのだ。
今回のデビュー記念発表会で、その意味がやっと分かった。それは大谷氏のギター、編曲を担当した伊戸のりお氏(68)のピアノで、スターダスト・レビュー「木蘭の涙」を歌ったときだった。同曲は根本要(68)のハスキーなハイトーンが印象的なバラードだ。
亜蘭はキーも違えば、声質も全くの別もの。だが、根本とは正反対だからこそ気付くことができた。それは、“声全体が低いわけではなく、声の低音部に芯があり、深みがあり、そして厚みがある”ということだった。
曲が持つ力もあるかもしれないが、亜蘭の「木蘭の涙」に、心をわしづかみにされたのだった。
「これが大谷氏のいう“低音が魅力”か?」。演奏後の大谷氏を直撃すると、その真意を確認できた。「低音を使えるようになるまで6年かかった」という。
また、同時に感じたのが、生演奏の持つパワーだった。演歌・歌謡曲系の発表会やキャンペーンでは「オケ」で歌うことが多い。もちろん、それでも歌がもつ力や魅力は伝わる。
だが、「生演奏」はそれぞれが化学反応を起こし、「1+1=2」ではなく10にも、100にもなる。これが音楽の素晴らしさだが、同時に難しさ、怖さでもあるはずだ。
今回、亜蘭が秘める可能性を感じることができた。183センチという長身だが、表情にはまだあどけなさも残っている。今後、どんな表情を見せてくれるのか。成長が楽しみだ。【川田和博】