大友啓史監督「宝島」は「議論を巻き起こしていますが…本土からのラブレター」

映画「宝島」東京キャラバンイベントに登場し思いを語る大友啓史監督(撮影・小島史椰)

妻夫木聡(44)の主演映画「宝島」東京キャラバンが2日、東京・新宿バルト9で行われた。この日は大友啓史監督(59)と、同作で2019年に直木賞を受賞した原作者の作家・真藤順丈氏(47)も登壇。同氏は、妻夫木が演じたグスクを、東京から沖縄に渡った人物の想定で書こうとしたが「ヤマトンチューのままでは書けない、この話は。グスクも現地の人にしてウチナンチューになりきって書く。歴史、時代を生きた人にどれだけ近づき、なりきれるか…に入っていけるかが難しかった」と、原作の執筆を振り返った。

大友監督は、その話を聞き「原作を引き受けているわけで、僕のスタンスも完全にそう。いかにして、岩手に生まれた僕が沖縄の人の感覚を自分の体に取り込んでいくか」と真藤氏と思いは1つだと強調した。公開後、沖縄の方言に字幕を付けず、分かりにくいとの声が出ていることを踏まえたのか「方言とか、そういうのも含め、いろいろ議論を巻き起こしていますが…」と口にした上で「沖縄には方言札があった。方言をしゃべった子は、首から大きな方言札を下げて…同化政策ですよ。沖縄弁をしゃべっちゃいけないという、ある種の罰ゲーム。それ1つ取っても、言葉は人々のアイデンティティー」と声を大にした。

そして「ウチナンチューの気持ちで作っているから、試行錯誤しテロップ入れたりしたけど、何やってるんだ、俺? と思った。分かったフリをして作っちゃいけない、説明する人間になっちゃいけない、という思いで作った。ウチナンチューの気持ちを知って欲しい…。うまく理解しようとしないと」と続けた。その上で「本土からのラブレターとして作った。方言札も調べてみて欲しい。発見して調べていかないと、血肉にならない」などと熱く語った。

「宝島」は、戦後に米軍統治下に置かれた沖縄で、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を描いた。18年6月に刊行された原作が、19年1月16日に直木賞を受賞したことで映像化の構想がより具体的になり、同10月ころに脚本開発がスタート。20年に全世界に拡大したコロナ禍などによる2度の撮影延期などもあったが、24年2月25日にクランクイン。同4月17日の沖縄パートのクランクアップまでロケは41日、行い同27日から都内スタジオ、関東近郊、和歌山ほかで本土撮影パートがクランクイン。同6月9日まで撮影は106日に及び、総製作費は25億円に上った。

妻夫木は、永山瑛太(42)演じる“戦果アギヤー”の英雄・オンの親友グスク演じた。予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を、警察官になって追う役どころだ。広瀬すず(27)がオンの恋人ヤマコを演じた。グスクは予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を警察官になって追い、ヤマコは小学校の教師になり、オンの帰りを信じて待ち続ける。窪田正孝(37)が消えたオンの影を追い求めてヤクザになる弟レイを演じた。