田中俊介「未解決事件『北朝鮮 拉致事件』」で蓮池薫さん役「はい、やりますとは言えなかった」

NHK「未解決事件『北朝鮮 拉致事件』」ドラマ試写会に出席した田中俊介(撮影・村上幸将)

田中俊介(35)が10日、都内のNHKで行われた「未解決事件『北朝鮮 拉致事件』」(総合で18日午後7時30分)ドラマ試写会に出席。02年10月15日に日本政府のチャーター機で24年ぶりに帰国した、蓮池薫さん(68)を演じるが「お話をいただいた時、率直な話、はい、やります、とはいえなかった。向き合うには、それなりの責任と覚悟が必要だと思った」と、オファーを受けると即答できなかったと明かした。

「未解決事件『北朝鮮 拉致事件』」は、1970年代から90年代前半に至る警察と北朝鮮工作員の攻防を徹底取材。ドラマでは長年、北朝鮮と対峙(たいじ)してきた外事警察の捜査員や幹部への取材をもとに、当時の知られざる捜査の裏側を映像化。さらに78年に北朝鮮に拉致され24年間、現地での暮らしを余儀なくされた蓮池さんも制作に協力。北朝鮮工作員を追う外事警察の捜査官・喜多見守和を高良健吾(37)が演じる。

田中は「拉致被害者の方が帰国された映像を見ていたのが中学1年。衝撃的で信じられなかったのを鮮明に覚えています」と振り返った。その上で「なぜ、受けたか…。忘れちゃいけない、未解決なんだというのを届けたい。役者として、力になれるんだったら、僕で良いんならやりたいと作品に入った」と、北朝鮮による拉致事件の一助になりたいとの強い思いから作品に参加したと明かした。

蓮池さんを演じるにあたり「とにかく、蓮池さんの言葉を意識していた」という。ただ「講演会の映像資料、インタビュー映像を調べて、徹底的に入れていたんですが正直、納得いかず」(田中)監督を務めたNHKの桑野智宏氏とプロデューサー陣に「ご本人に、ぜひお会いできないか?」と依頼。蓮池さん本人を在住する新潟県柏崎市に訪ねて直接、話を聞いたという。「2時間、当時の心境を話してくださった。そこで、改めて気合を入れてと覚悟ができた」と振り返った。

蓮池さんが、北朝鮮で妻祐木子さんと生活するシーンや、北朝鮮当局に依頼し、初めて旅に出た海岸で海を泳いだ後、海岸で涙するシーンなど、なかなか報道には乗らない蓮池さんの北朝鮮での生活も演じた。「海岸で海を見つめるシーンもそうですし、北朝鮮の暮らしのシーンも、いろいろうかがった」と、蓮池さん本人から聞いた話は、大いに参考になったという。「帰りたいという気持ちだけじゃなかったと言うか…もちろん、帰りたい。だけど、守る家族、お子さんもいらっしゃる。帰りたい、帰りたいだけだと身の危険も感じたとおっしゃった」と、蓮池さんの証言が、演じる際の心情に大きな影響を与えたことも示唆した。

劇中では、大倉孝二(51)が演じる拉致加害者・チェ・スンチョルと自宅で会話や食事をするシーンも出てくる。田中は「チェ・スンチョルという加害者と生活を共にしていたんだというところで、僕もそうだったけれど衝撃を受けると思う。我々が想像できる範ちゅうにないところまでいっている。お話を聞いている中で、感情がどうしても1つじゃない。悲しい、怒り、むなしいだけじゃない、言語化できない苦しみが常にあった…というとこころを踏まえてのシーンにはなった」と、目に涙を浮かべて語った。

「未解決事件『北朝鮮 拉致事件』」(総合で18日19時30分)は、10月から始まった新番組「未解決事件」のFile.02で、特別編としてドラマとドキュメンタリーの2本立てで放送。ドキュメンタリーは同日午後10時から放送する。