79歳西岡徳馬の年輪からにじみ出る本物感「新 画狂人北斎」は寺西拓人との年齢差もリアル

舞台「『新 画狂人北斎』-2025-」のゲネプロ取材会に臨んだ、左から寺西拓人、西岡徳馬(2025年10月17日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

西岡徳馬(79)主演の舞台「『新 画狂人北斎』-2025-」を観劇した。

江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の物語。「画狂人北斎」として17年に朗読劇が上演され、ストレートプレイで19年、21年、23年とブラッシュアップを重ねてきた。北斎役の西岡と娘役の雛形あきこ(47)は前作から続投だが、脚本が完全リニューアルされた。

前作では江戸と現代をいったりきたりしていたが、今作は江戸時代に絞って濃密に描いた。北斎と、timelesz寺西拓人(30)演じる南町奉行・鳥居耀蔵の対立が軸だ。

寺西と西岡の年齢差は、劇中の鳥居と北斎の年齢差に近く、リアリティーがある。約1カ月間の稽古は9月半ばに始まり、西岡は稽古期間中の10月5日に誕生日を迎えた。翌日、水野忠邦役で声のみ出演する里見浩太朗(88)がせりふの録音に来たという。里見は京都公演が行われる11月28日が誕生日。もうじき89歳だと聞くと「(西岡より)まだ10個上なの!?」と現場は驚いたそうだ。

演出の宮本亞門氏(67)は、西岡の誕生日に枕を贈った。雛形が「北斎のことを寝るときも忘れるな、みたいなことですよね」と意図を代弁すると、宮本氏は「うん」と笑顔でうなずいた。西岡は「あの枕ね。1回寝たんですけど、寝られませんでしたね」と苦笑で応じた。

枕効果はさて置いても、西岡は「この数カ月、寝ても覚めてもずっと北斎のことを考えていた。寝ててもガバッと起き上がって『あのせりふ、違う』となるくらい」と北斎に寄り添い、没頭していた。俳優は何にでもなれるし、何歳の役でも演じられる。ただ里見浩太朗の声の深みや、西岡のそこにいる本物感は、若い人にはとてもまねできない、年輪がにじみ出せる妙だなと実感した。【鎌田良美】