東京国際映画祭コンペティション部門に出品された「恒星の向こう側」(中川龍太郎監督)公式上映が29日、東京・丸の内ピカデリーで行われた。
この日は、主演の福地桃子(28)演じる未知の母可那子を演じた映画監督の河瀨直美氏(56)と、夫登志蔵を演じた寛一郎(29)が登壇した。
河瀨氏は、中川龍太郎監督(35)が「10年以上前に、作品を選んでいただいて上映したのがキャリアの初め。新しい仲間と一緒に、この舞台に戻って来られて、うれしい」と語るのを聞くと「中川龍太郎の仲間の河瀬です」と言い、笑った。同監督が「師匠です」と笑うと、笑みを返し「舞台あいさつは、監督として出るのが大部分であり…初めて女優として出ていることになるのかなと思うと、何を言って良いか分からない。監督だと言うことがあるんですけど、なかなか難しい」と照れ笑いを浮かべた。
「恒星の向こう側」は、この日が世界初上映だった。中川監督が客席に向かって「素晴らしい演技をしているので楽しみにしてください」と声をかけると、河瀨氏は、意味深な笑いを浮かべた。同氏は自身の監督作を撮影する際、俳優に対し撮影前からロケ地で生活させる演出“役積み”を行うよう求める。そのことを踏まえ「役積みをして(役に)なって欲しいと言っているものですから、若手の一線を行く監督に、そうして欲しいと言われ、できませんとは一切、言えなかった。やるしかない。命がけでやりました」と撮影を振り返った。
寛一郎は「一般の方に見せられるの、初めてですよね。楽しく見られる作品になっていると思うんで」と、作品への自信を口にした。
「恒星の向こう側」は、母の余命を知り故郷に戻った娘・未知が、寄り添おうとしながらも拒絶する母可那子と衝突を重ねる。夫登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への思いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知は、母の残したテープから“もうひとつの愛”を知り、初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく物語。