「女優やってたんだ」に「辞めたって言ってない」中江有里、27年ぶり主演映画「道草キッチン」

「道草キッチン」で27年ぶり映画主演が決まった中江有里

女優で歌手、作家の中江有里(51)が、22日公開の映画「道草キッチン」(白羽弥仁監督)で27年ぶりに映画に主演する。1998年(平10)の映画「風の歌が聴きたい」(大林宣彦監督)以来だ。中江演じる50歳の主人公・桂木立(りつ)は、都会で小さな喫茶店を営む。身寄りがなく1人きりの余生を決めていたが、立ち退きを余儀なくされる。そこに、徳島県吉野川市から、死亡した叔父の家を相続の通知が届く。会ったことのない叔父は、ベトナムの女生と結婚していた。立は初めて訪れた徳島への移住を決める。

映画出演自体は、大林宣彦監督の遺作となった「海辺の映画館-キネマの玉手箱」以来5年ぶり。「知人の自主映画とかには少し出ましたが、ガッツリとやるのは5年ぶり。今回の映画主演で『中江さん、まだ女優やってたんですね』と言われました。私、1回も辞めたって言ったことないんですけどね。なんで、そういう風に思われてるのか分からない」と、少し怒った表情を見せた。

コメンテーター、小説家、書評家、そして歌手としても幅広く活動。「道草キッチン」の予告編では、作曲家松本俊明氏とのユニット、スピンとして「それぞれの地図」を歌っている。「まぁ、女優というのは話が来ないとできないものですから。でも、やらないなんてひと言も言ってませんよ。この作品に出たことで女優の仕事をもっとやりたいと思っているんです。お待ちしてます!」と語気を強めた。

「道草-」は大きな事件は起きないが、ゆったりとした時間の流れの中で、相続、空き家問題、墓じまい、外国人問題のエピソードも描かれている。「私が演じる桂木立は、50代でシングルの女性。同性代ですから、彼女に降りかかって来る問題は、私のことでもあると思うんです」。叔父の妻のベトナム人女性が営んでいた料理店の再開を目指すために、いくつものベトナム料理にチャレンジした。「フォー、揚げ春巻き、バインミーと、いろいろ作りましたけど、私自身はあんまり食べてないんです」と振り返った。

7月にベトナムで開催された「ダナン・アジア映画祭」を訪れた。「ダナンは“ベトナムのハワイ”と呼ばれるすてきな都市なんです。上映された『道草-』を見た、現地の人から『ぜひベトナムでも公開してください』という声をいただきました。ベトナム語の字幕は付けられるし、今は配信もあるので、ベトナムの人たちにも見ていただきたいですね」と話している。

【小谷野俊哉】

◆中江有里(なかえ・ゆり)1973年(昭48)12月26日、大阪府生まれ。89年(平元)JR東海のCMでデビュー。90年のTBS系「なかよし」で女優デビュー。91年にはシングル「花をください」で歌手デビュー。92年に映画「奇跡の山さよなら、名犬平治」、日本テレビ系「綺麗になりたい」で、連続ドラマ初主演。95年のNHK連続テレビ小説「走らんか!」ではヒロイン。98年映画「風の歌が聴きたい」。06年に小説「結婚写真」で作家デビュー。13年に法大通信教育部文学部日本文学科を卒業。154センチ。A型。