綾野剛、日本を代表する脚本家の監督に「監督はあっちですから」とたたえられ照れ「違いますよ」

あいさつする綾野剛(撮影・河田真司)

綾野剛(43)が18日、東京・テアトル新宿で行われた主演映画「星と月は天の穴」(12月19日公開)完成披露上映会に登壇。23年「花腐し」に続くタッグとなった、日本を代表する脚本家でもある荒井晴彦監督(78)から、現場でアイデアを出したり、共演の田中麗奈(45)らに、しばしば声掛けする時もあったと明かされ「監督はあっちですから」とたたえられると「違いますよ」と照れた。

「星と月は天の穴」は、吉行淳之介が66年に発表した小説が原作。綾野が演じる矢添克二は、妻に逃げられて以来、女を愛することを恐れる40代の独身小説家。心の穴、愛されたい願望を埋めるように娼婦と体を交え、誰にも知られたくない秘密をコンプレックスとして抱え、執筆する恋愛小説の主人公に自らを投影し愛の可能性を探求するのが日課の“こじらせ男”。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れ、奇妙な情事へと至る女子大生の瀬川紀子を咲耶(25)、矢添のなじみの娼婦・千枝子を田中麗奈(45)が演じる。撮影は24年4月に東京近郊で行われた。

田中が演じる千枝子が、たばこをくわえてペディキュアをするシーンがある。荒井監督から「綾野君のアイデアだからね。監督はあっちですから」と言われると、綾野は「違いますよ。竹田(正明)さんという、とてつもない優秀な助監督がいて『監督って、こうだよね』と話した。喫煙する設定だったので、たばこの煙のゆらぎがあったら、感情が伝わってくる。『どうしようかね?』と言われたので『この後、たばこ、持ちますし、』と言いました」と撮影を振り返った。

綾野は、壇上で荒井監督が質問の答えに窮するとサポートもした。高校生だった18歳の頃に原作に出会った荒井監督が、映画化の動機について改めて聞かれ「ちょっと、言いづらいな」と口にすると、綾野は「確認します」と言い、寄り添って2人だけで語り合った。そして「あぁ~…確かに。荒井さんでも思いを文体にするのは難解かも知れません。あれが、きっかけ、共感できたってことですか?」と問いかけた。

すると、荒井が「セックスには、ラーメンのこしょうのように必要じゃないかと」と口にした。客席に笑いが起きる中、綾野は「どういうのですか? 全然、ピンとこない。とあるシーンがあって、なかなか…」と答えた。荒井監督は「言葉じゃ言いにくいですね。本領を発揮できなかった瞬間があるんですね。どうしようかと悩んだ末に、あるものを見て本領を発揮できる」と答えた。田中も「想像力が、ね」と助け船を出すと、綾野は「本領発揮というか、屹立(きつりつ)させられた」と口にした。

原作には「女の軀に軀を重ねても欲情はたってこない」男は、連れ込み旅館の枕もとの棚の下の埃を見る。「数週間にわたって抜け落ちた数え切れない数の男と女の毛が、絡み合っていた」「突然、はげしい欲情が彼の中に突き上ってきた」などのくだりがあり、一連のトークの中では、その点について語り合ったものとみられる。