【解説】久保史緒里卒コンの驚異的構成実現した乃木坂46メンバーの愛、初めてダンス覚えた曲も

乃木坂46卒業コンサートで6期生とパフォーマンスする久保史緒里(中央)(KENTA Inc.)

久保史緒里(24)が11月26、27日に横浜アリーナで行われた自身の卒業コンサートをもって、グループから卒業した。ライブは1日目と2日目で完全に構成を変え、練りに練った驚異のセットリストでファンに届けた。久保のストイックさはもちろん、メンバーから久保への深い愛情も感じさせる内容だった。

初日公演で30曲、2日目で33曲をパフォーマンスした。2日間どちらも披露した“かぶり”はなんと「シンクロニシティ」の1曲のみ。「乃木坂46の曲を全部聴き返しました」という久保のこだわりが十二分に詰め込まれた内容だった。

特に印象的だったのは、2日目の中盤だ。“先輩と後輩”がテーマになったVTRが流れた後、久保はまず6期生たちと6期生曲「タイムリミット片想い」、5期生と5期生曲「絶望の一秒前」、4期生と4期生曲「4番目の光」を続けて歌い踊った。ここで自身を含む3期生曲の「三番目の風」が来るか、と思わせておいていったん、1~3期生初となる当時の全体曲「設定温度」を3~6期生の出演した全員で披露した。

サプライズはこの後だった。そのまま全出演者で1期生曲「Against」をパフォーマンスした。1期生卒業後はあまり披露されてこなかったナンバーで、客席からはどよめきも上がった。さらに全員で2期生曲「アナスターシャ」と続けた。こちらはさらにライブなどで流れる機会も少ない楽曲だ。そして3期生だけがステージに残り「三番目の風」で、この“先輩と後輩”がテーマになったブロックを締めた。3期生たちの鬼気迫るアオりにファンは熱狂した。

何が驚きかというと、「Against」と「アナスターシャ」、特に「アナスターシャ」は5期生、6期生はほぼ全員1度もパフォーマンスしたことがないということだ。当然、一からダンスやフォーメーションを覚えなければいけない。「Against」の後、「アナスターシャ」と全員で続けた時は筆者も「えっ、全員で踊るの!?」と度肝を抜かれた。

ただでさえトップアイドルの乃木坂46は日々グループや個人で仕事も多く、コンサートのリハーサルの時間も限られる。今回のライブもさまざまな楽曲が久保の卒業コンサートの特別バージョンで披露された。たとえ以前にパフォーマンスしたことはあっても普段と違う立ち位置を覚えなければいけなかったり、メンバーによってはそもそも一から振り付けしなければならなかったりと、合同でも個人でもレッスンを重ねる必要がある。

もちろんどのアイドルでもそれは同じなのだが、40人近いメンバーのいる乃木坂46では、想像以上にさまざまなフォーメーションがあり、覚えることも無数にある。関係者によると、特に今年2月に加入したばかりの6期生たちは、がむしゃらに日々練習を重ねたそうだ。久保自身も「6期生も『新参者』公演がある中で、6期生だけのレッスン時間をとってくれたりした」と感謝していた。

3~5期生もある程度修羅場をくぐっているとはいえ、今回のライブリハーサルは大変だったようだ。特に「Against」「アナスターシャ」の“5、6期生はほぼ全員新曲のダンスを覚える状態”は壮絶だったようだ。3、4期生で踊った経験があるメンバーにとっても、久々のパフォーマンスだった。それが本番であれだけ統制のとれたステージでファンを魅了したのだから、あらためて驚かされる。

久保はライブ前「メンバーのみんなは『アンダーライブ』とか『新参者』とか他のライブのリハーサルもある中で、初めてやる曲も多かったりして、負担をかけてしまって申し訳ないです」と恐縮していた。ただ、それを実現したのは他ならぬ久保の人徳と、メンバー同士のリスペクトを忘れない「乃木坂46らしさ」のたまものなのだろう。

2日目公演のVTRには映画「ネムルバカ」で共演した平祐奈や舞台「天號星」で共演した古田新太はじめ、多数の俳優陣が出演。さらにNHK大河「どうする家康」で共演した松本潤や有村架純が、久保の両親からの手紙を代読する形で、声の出演を務めた。多忙なキャストたちだが、「久保さんのためなら」という1点で快諾したという。

VTRでビッグネームの登場が明らかになるたび、会場にはどよめきや歓声があがった。SNSでも「豪華すぎる」と大きな話題になった。ただ、その土台にあるのはやはりメンバーたちの多大な努力だろう。大前提として久保の思いが込められたステージパフォーマンスが滞りなく進行することが求められる。「久保さんのためなら」。この思いは同期や後輩たちも同じ、いやそれ以上だったのではないだろうか。

その象徴が「Against」や「アナスターシャ」といった1期生、2期生という卒業生たちへのリスペクトも込められた楽曲だったというのもまた、乃木坂46らしいというべきか。主体としても受け手としても、「乃木坂46らしさ」を体現したと言われた久保らしい卒業コンサートだった。【横山慧】