興行収入(興収)173億7739万4500円を記録し、実写日本映画興収記録を22年ぶりに更新した「国宝」が16日、都内の東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「カンヌ監督週間 in Tokyo 2025」で上映された。主演の吉沢亮(31)は、主演のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の放送を終え6月6日の初日舞台あいさつ以来の登壇となった共演の横浜流星(29)を「大河、お疲れ」とねぎらう一方、李相日監督(51)を「悪魔」と評し、場内を笑わせた。 カンヌ映画祭監督週間総代表のジュリアン・レジ氏から、吉沢と横浜に「李監督はこだわりの強さ、思い通りになるまでやらせることで知られる。こんなことが本当に大変だった、ということを正直に教えて欲しい」と質問が飛んだ。吉沢は「何回もやらされるのも、そうですけど、なぜ何回やらされるかが分からない。『もう1回』しか言わない。何がダメなのかを教えてくれないのが、厳しさであり愛情と受け止めていました。自分が分かるまでやらせる…なかなか絞られたなと」と答えた。
22年の「流浪の月」に続き、2度目の李組の参加となった横浜は「1回目は、暗闇の中で必死に自分の中で探した。大変だけど、我々の中にあるものを信じてくれる監督も多くない。幸せ」と、李監督に感謝。「2作目は、分からないところはあるんですけど、1作目、やっていたからこそ分かるものもあった。正解はないと思うんですけど、自分の中でもがくのを、時間が許す限りやってくださる方は、そう多くない」と、2作目だからこそ、より理解できた面が多かったと振り返った。
「国宝」は作家・吉田修一氏の同名小説の映画化作品。吉沢と少年期を演じた黒川想矢(15)が、主人公・喜久雄の50年の人生を演じた。抗争で父を亡くした喜久雄を引き取る上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎を渡辺謙(66)半二郎の実の息子で、生まれながらに将来を約束された御曹司・大垣俊介を横浜、少年期を越山敬達(16)が演じた。吉沢と横浜が、歌舞伎俳優の中村鴈治郎(66)から1年半にわたって歌舞伎の指導を受けたことも話題を呼んだ。
吉沢は、李監督が撮影中に「喜久ちゃん」と、役名で呼び、迫ってくることへの“恐怖”も吐露。「撮影の後半になってくると『喜久ちゃん、これからすごく難しいこと、言うからね』と笑いながら近づいてくる」と振り返った。その上で、喜久雄が「神様と話ししてたんとちゃうで。悪魔と取引してたんや」というせりふにちなみ「すごく、うれしそう。悪魔みたいな顔。喜久雄は、こういう悪と契約したんだな、と」と言い、笑った。
1年半。稽古を続けた歌舞伎のシーンについても「本番で『美しくやるのは良いから、喜久雄でやってくれ』と、いきなり言われる」と振り返った。そして「それのおかげで『国宝』という映画の中で歌舞伎役者になれたし、我々役者がやる意味があったと思えた。ありがとうございました」と感謝した。
これには、李監督も「悪魔ですけどね」と返して、笑った。